Tether社、セルフカストディウォレットの「Fizen」に出資

Tether社がFizenに戦略的投資

米ドル建てステーブルコイン「USDT」等を発行するテザー(Tether)社が、セルフカストディ(自己保管)型の暗号資産(仮想通貨)ウォレットとデジタル決済を手がけるフィンテック企業フィゼン(Fizen)への戦略的投資を行ったと4月15日に発表した。

フィゼンは、消費者および企業にとって暗号資産を実用的に役立つユースケースとして、ステーブルコインによるスムーズな取引を可能にする決済サービスを提供している。

フィゼンはテザー社からの投資を通じて、複数のブロックチェーンにまたがるステーブルコインを統合・運用可能にするとのこと。これにより、ユーザーは煩雑な手続きや書類提出を必要とせずに、安全かつ直感的に資産の保存・送金・決済が行えるセルフカストディ型ソリューションを利用できるという。

さらに、フィゼンの決済インフラは事業者にとっても利便性が高いとされている。利用者がステーブルコインで支払いを行い、店舗側はQRコードやカードリーダーなど既存の決済手段を通じて、即座に法定通貨で支払いを受け取れる。

これにより事業者は、専用の決済インフラを新たに導入する必要がなく、暗号資産による決済の導入を効率的に行えるとのことだ。

今回の発表でテザー社は、世界銀行(World Bank)の分析データベース「グローバルフィンデックスリポート(Global Findex Report)」の内容を引用し、世界には銀行口座を持たない人々が数億人規模で存在していることと、その主な理由が「最寄りの金融機関までの距離が遠いこと」や「必要な書類の欠如」であることを挙げている。

こうした人々にとってステーブルコインは、従来の銀行サービスに代わる新たな決済手段となる可能性があるとテザー社は説明している。しかしその一方でステーブルコインの実用化には課題も多く、加盟店における受け入れ態勢の整備が障壁となっていると述べられている。

テザー社は今月14日、暗号資産ビットコイン(BTC)の分散型マイニングプール「オーシャン(OCEAN)」に対し、現在運用中のハッシュレートに加え、今後拡大が見込まれる計算能力も順次割り当てていく方針を発表した。

「オーシャン」は、オープンソースの「DATUM」プロトコルを通じて、マイナー自身がブロックテンプレートを構築できる仕組みを提供している。これにより、中央集権的な仲介者への依存を減らし、ネットワークの検閲耐性を高めている。

またテザー社は、「オーシャン」が提供するソフトウェア「DATUM Gateway」を活用しており、帯域幅が限られた環境でも高性能なマイニング運用を可能にしているとのことだ。

参考:テザー
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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