Ethena Labs、EUのMiCA規制に非対応でドイツ撤退

規制回避でBVI法人に集約

DeFi(分散型金融)プラットフォーム「エセナ(Ethena)」が、ドイツでの活動を停止すると、開発元のエセナラボ(Ethena Labs)が4月15日に発表した。

発表によると、エセナラボはドイツ法人のEthena GmbHに関し、ドイツの金融規制当局バフィン(BaFin:連邦金融監督庁)と協議のうえ、すべての事業活動を停止することに合意したという。あわせて、ドイツにおけるEUの暗号資産規制(MiCA/MiCAR:Markets in Crypto-Assets Regulation)に基づく認可取得を追求しない方針も示した。

エセナラボはまた、Ethena GmbHは2025年3月21日以降、トークンのミントや償還といった金融活動を行っておらず、現在はBVI(英領ヴァージン諸島)法人「Ethena (BVI) Limited」によってすべての運用が継続されていると説明している。

以前、Ethena GmbHと取引のあったホワイトリスト登録済みのユーザーについては、本人の同意を得たうえでEthena (BVI) Limitedへのオンボーディングが完了しており、Ethena GmbHとの関係はすべて解消されたという。

これにより、Ethena GmbHにはホワイトリスト登録済みユーザーも、直接的な顧客も存在しない状態になっているとのことだ。

今回の発表は、バフィンが3月21日にEthena GmbH発行のステーブルコイン「USDe」に「重大な欠陥」があるとし、同社がドイツで必要な認可なしに証券を提供している疑いがあると指摘したことを受けて行われた。バフィンは、MiCAに照らした際にEthena GmbHが準備資産の管理や自己資本要件の遵守に関する違反をしていると指摘。この措置により、Ethena GmbHは「USDe」トークンの新規発行停止と、関連する資産の凍結を命じられていた。

なおこの措置はバフィンがMiCAに基づく規制を初めて適用した事例になった。

MiCA/MiCARは、2024年12月30日よりEU全域で全面施行された暗号資産に関する規制枠組みである。

この規則は、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコイン、関連サービスプロバイダーに対して、明確なライセンス要件や消費者保護、情報開示義務、準備資産の要件などを課すもので、統一された規制のもとで業界の健全な成長と投資家保護を図ることを目的としている。

ドイツにおいては、バフィンがMiCAの執行機関を担っており、暗号資産サービスプロバイダーはバフィンの認可を得ることで、EU域内での営業を合法的に行うことができる。

バフィンは1月27日、ビットパンダ(Bitpanda)とクリプトファイナンス(Crypto Finance)の2社にMiCAを付与している。

画像:iStock/Ket4up

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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