Aavegotchi、PolygonからBaseエコシステムに完全移行へ

Aavegotchiコミュニティが「Base」への移行を投票で決定

NFTゲーミングプロトコル「アーベゴッチ(Aavegotchi)」の分散型自律組織(DAO)が、同プロトコルのデプロイ先のブロッチェーンを既存のポリゴン(Polygon)ネットワークから撤退し、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2である「ベース(Base)」へ完全移行することを4月8日に決議した。

この投票は「[AGIP 143] Proposal: Make Aavegotchi Based Again」として提案され、93.5%の圧倒的賛成多数で可決された。移行プロセスは4〜6週間かかる見込みで、監査期間も含まれる。

「アーベゴッチ」の開発会社ピクセルクラフトスタジオ(Pixelcraft Studios)の創設者であるコーダーダン(coderdan)氏によると、「市場の下落傾向、特にNFTやゲーミング分野において、当社は最近チーム削減を行い、支出を抑制して運営期間を延長した」と述べている。

また同氏は、「理論的にはどこにゲームをデプロイするかは重要でないはずだが、実際には流動性のある場所に注目が集まる。『ポリゴン』のTVL(ロックされた総価値)は2022年以降横ばいまたは減少傾向にある」と説明した。

移行の一環として、「ポリゴン」ベースの「アーベゴッチ」のスマートコントラクトはアップグレードされ、転送や状態調整ができないようになるという。全ての「アーベゴッチ」資産は、1:1の比率で「ベース」上にミントされる予定だ。

「ベース」選定の理由としては、「BNBやトロン(Tron)以外で最も使用されているEVMチェーンであること」、「コインベース(Coinbase)による導入サポート」「コインベースウォレットやファーキャスター(Farcaster)との統合」「エアロドローム(Aerodrome)やユニスワップ(Uniswap)などの「ベース」上のGHSTトークン流動性プール」などが挙げられている。

今回の移行決定は、大手レンディングプロトコルである「アーベ(Aave)」のDAOがブリッジ資産の潜在的な再担保化に関する議論の後、「ポリゴン」のPoSネットワークからのデプロイメント撤退を決定した直後に行われた。

なお「ベース」は、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが、「OPメインネット(オプティミズム)」の開発元OPラボ(OP Labs)が提供するソフトウェア「OPスタック(OP Stack)」を用いて開発したL2チェーンである。

「アーベゴッチ」は、1990年代に初めて日本で発売された玩具「たまごっち」に類似した、NFTを用いたゲーム。その名称は「Aave」(フィンランド語で「幽霊」の意)と「Gotchi」(たまごっちからの造語)を組み合わせたものとなっている。プレイヤーは独自のモンスター「アーベゴッチ」を育成してバトルに参加ができる。ピクセルクラフトスタジオが「アーベ」とのコラボレーションで作成し、独立したDAOによって管理されている。

「アーベゴッチ」コミュニティでは、「ポリゴンSDK(Polygon SDK:ポリゴン上で独自チェーンを構築できる開発ツール)」を用いてポリゴンスーパーネット(Polygon Supernets)上に「ゴッチチェーン(Gotchichain)」を構築し、2023年にポリゴン上の展開を縮小し同チェーンへ主軸を移していた。その後2024年には「ゴッチチェーン」の運用上の問題から、アービトラム(Arbitrum)によるチェーン開発キット「アービトラムオービット(Arbitrum Orbit)」を活用し、「ベース」上のL3ネットワークとして「Geist(ガイスト)」を2024年11月に立ち上げ、「ゴッチチェーン」からそのエコシステムの主軸を移し始めていた。今回の提案にて「アーベゴッチ」はエコシステムの中核を「ベース」へ移し、「ポリゴン」上のスマートコントラクトをロックし、「ベース」で資産を再ミントすることになる。

「アーベゴッチ」は2023年に締結した複数年にわたるトークン販売で3,000万ドルを調達しており、これはベンチャーキャピタルの参加がない資金調達ラウンドとしては最大級とされている。

参考:Aavegotchi DAO
画像:iStocks/SiberianArt・artacet

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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