独立監査も義務化
ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が率いる米決済企業ブロック(Block:旧スクエア)社が、4,000万ドル(約61億円)の罰金を支払うことでニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)と和解した。NYDFSが4月10日に発表している。
NYDFSは声明にて、ブロックが「銀行秘密保持法(BSA)/マネーロンダリング防止(AML)コンプライアンスプログラムにおける重大な不備により、同局の資金送金および暗号資産(仮想通貨)に関する規制に違反した」と指摘した。
またブロックには、罰金に加え、NYDFSの規制遵守と是正措置の取り組み状況について評価を行う独立監査人(Independent Monitor)の設置が義務付けられた。
ブロックは、ユーザーが法定通貨の送金・受領を行えるP2P送金サービス「Cash App(キャッシュアップ)」を運営している。同社は2013年に、ニューヨーク州で送金事業を行うライセンスをNYDFSから取得。
2018年からは「Cash App」を通じてビットコインの取引提供も開始していた。
金融サービス監督官のアドリアン・A・ハリス(Adrienne A. Harris)氏は、「コンプライアンス部門は企業の成長や拡大に歩調を合わせる必要がある。コンプライアンス体制が十分に機能していない状況で、ブロック社のキャッシュアップが急速に成長したことは、ニューヨークで事業を展開する金融サービス企業が順守すべき規則に対するリスクと脆弱性を生み出した」と述べた。
NYDFSによると、今回の調査では、顧客デューデリジェンス(CDD)の不備、マネーロンダリングや違法行為の防止に関するリスクベースの管理体制の欠如、取引モニタリングの遅延・失敗など、ブロックのBSA/AMLプログラムに深刻な問題があることが判明したという。
特に、高リスクなビットコイン取引への甘い対応により、適切な審査を行わないまま匿名性の高い取引が進められていたとされた。
さらに、2019年から2020年にかけて同社が急成長したことにより、多数の重大な取引警告(アラート)が未処理のまま放置され、長期にわたって是正が行われなかったことも問題視された。
NYDFSは、これらの要因が重なり「犯罪に悪用されやすい環境が生み出された」と指摘している。
なおNYDFSは2023年、米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)に対して、ブロックと同様のBSA/AML体制の不備を理由に5,000万ドル(約76億円)の罰金を科し、加えて5,000万ドルの体制改善投資を義務付けていた。
参考:NYDFS声明
画像: Reuters