パキスタンが余剰電力をマイニングに活用か
パキスタンが同国の余剰電力の一部をビットコイン(Bitcoin)のマイニングおよび人工知能(AI)データセンターに割り当てる計画を進めているようだ。同国の暗号資産評議会(Crypto Council)の議長であり、財務大臣の顧問も務めるビラル・ビン・サキブ(Bilal Bin Saqib)氏が、同計画を4月10日に明らかにした。同氏は、複数のマイニング企業と協議を行っているとも述べた。
パキスタンのエネルギー部門は、電気料金の高騰や余剰発電能力などの課題に直面している。
より多くの消費者がコストを抑える手段として代替エネルギーに注目する中、太陽光エネルギーの急速な拡大により状況はさらに複雑化している。
サキブ氏はロイターに対し、マイニングセンターの設置場所については、特定地域における余剰電力の供給状況に基づいて最終決定されると語った。
ロイターが確認した文書によると、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)の創業者であるチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏が、パキスタン暗号資産評議会の戦略アドバイザーを務めることが明記されている。
なおCZ氏は昨年5月、バイナンスによる米国のマネーロンダリング防止法違反の罪を認め、4か月の実刑判決を受けていた。
CZ氏は評議会において、ブロックチェーンインフラの整備支援、規制枠組みに関する助言、さらにデジタル通貨やマイニング、ブロックチェーン技術に関する若者向け教育などの国家的取り組みを支援する役割を担う予定だ。
サキブ氏によれば、パキスタンには1,500万~2,000万人の暗号資産ユーザーがおり、同国はフリーランサー経済(個人業務請負市場)において世界第3位の規模を誇り、フィンテック分野も成長しているという。
「パキスタンは暗号資産が正式に合法化されていないにもかかわらず、利用者数や普及度では世界トップ10に入るとされています」とサキブ氏は語った。
さらに同氏は、フィンテックやフリーランス経済におけるイノベーションと成長を促進するために、安全なテスト環境となる「規制サンドボックス」の導入が必要だと訴えた。
また、パキスタンの若者に対してブロックチェーンとAIのスキルを提供することで、雇用創出や経済成長が促進され、デジタルサービスによる輸出拡大にもつながり、世界的な舞台において新興テクノロジー分野の人材ハブとして同国を位置づけられると同氏は述べた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Pakistan turns to bitcoin miners, AI data centers to use surplus power
(Reporting by Ariba Shahid, Writing by Surbhi Misra; editing by Barbara Lewis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters