和解に向けた「原則的合意」に達する
米証券取引委員会(SEC)と米リップル(Ripple)社が、長引く訴訟手続きを一時中断する共同申請を4月10日に提出した。
申請書によれば、両者は互いの控訴審での控訴および反対控訴(Cross-appeal)を60日間保留とするよう裁判所に申し立てている。
また両者は、「原則的合意(agreement-in-principle)」に達しており、今後SECの承認を前提としてSECの控訴およびリップルの反訴を含む法的紛争の解決に進むことが予想される。
いわゆる「リップル裁判」は2020年より始まった。
SECは2020年12月、リップル社が2013年からの7年間で未登録証券としてXRPを販売し、約13億ドル(※当時のレートで1,300億円超)の資金を得たとして提訴。リップル社はXRPはクロスボーダー決済を促進させるために開発された通貨であると主張し、暗号資産業界と規制当局の間で大きな争点になっていた。
SECは2024年10月に控訴通知を提出。同月にリップル社は控訴審において、控訴対象ではなかった争点を巡り逆に控訴していた(Cross-appeal)。
今回の申請にて両者は、訴訟の継続は当事者および裁判所のリソースを浪費する可能性が高く、原則合意に基づき争いを終わらせることの合理性を主張している。
また、SECには、執行停止命令の日から60日以内に進捗報告を行うよう求められている。
バイナンスとの訴訟も一時保留中
またSECは、大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)とも「生産的な話し合い」を継続中として、訴訟の保留を延長するよう4月11日に裁判所へ要請した。
SECは2023年6月、バイナンスおよび同取引所創業者のチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏を提訴。同氏が取引量の人為的な水増し、顧客資金の流用、投資家への監視体制に関する誤解を招く説明を行ったと主張していた。
今回、両者が提出した文書にてSECは、「これらの継続的な話し合いと、本訴訟の解決や範囲の変更を承認するためにSEC内部で必要な承認プロセスに時間を要すること」を考慮し、保留の延長を要請している。
またバイナンスの弁護士も、この保留を支持しており、「司法経済の観点からも適切」と判断している。
今回60日間の停止が承認された場合、次の共同状況報告書は6月中旬に提出される予定だ。
なおこの訴訟では、2月13日にも連邦地裁のエイミー・バーマン・ジャクソン(Amy Berman Jackson)判事が、暗号資産規制を見直すためのSECの新たなタスクフォースの取り組みを理由に60日間の訴訟保留を認めていた。
ジャクソン判事は、タスクフォースが「本件の解決を促進する可能性がある」として両当事者が提出した申し立てを受けいれていた。
#XRPCommunity #SECGov v. #Ripple #XRP The parties have filed a joint motion to hold the appeal in abeyance based on the parties’ agreement to settle. The settlement is awaiting Commission approval. No brief will be filed on April 16th. pic.twitter.com/OVKPCIh43H
— James K. Filan(@FilanLaw) April 10, 2025
参考:バイナンス訴訟保留延期
画像:iStock/SasinParaksa