OpenSea、SEC暗号資産タスクフォースに意見書提出。取引所・ブローカー該当を否定

NFTは証券ではないとの立場も再度表明

大手NFTマーケットプレイスオープンシー(OpenSea)が、2025年4月9日付で米証券取引委員会(SEC)の暗号資産タスクフォースに意見書を提出し、NFTマーケットプレイスが連邦証券法の下で取引所やブローカーには該当しないことを明確にするよう求めた。

このタスクフォースは、いわゆる「クリプト・ママ」として知られるSEC共和党委員のヘスター・ピアース(Hester Peirce)氏が率いており、暗号資産規制の見直しを担う専門チームである。

オープンシーの法務顧問アデル・フォール(Adele Faure)氏と次席法務顧問ローラ・ブルックオーバー(Laura Brookover)氏はピーアス氏宛ての意見書の中で、「多くのNFTは収集品やデジタルアートであり、投資目的ではなく消費目的で購入されるもの」であり、NFTは証券取引法上の「証券」には該当しないとの立場を改めて強調した。

また、SECがNFT関連企業「ストーナー・キャッツ(Stoner Cats)」に対して行った強制執行に異議を唱え、NFTを創作やコミュニティ構築に活用しようとするアーティストやクリエイターの創作活動を妨げないよう求めた。

また、仮にSECが一部のNFT取引を「証券」とみなしたとしても、オープンシーや他のNFTマーケットプレイスを取引所やブローカーと見なすのは過剰な規制であると指摘。

オープンシーは、人々がNFTを発見し、売買希望者がつながるためのインターフェースを提供する場に過ぎず、実際の取引はスマートコントラクトによってブロックチェーン上で処理されており、オープンシーは注文のマッチングや取引ルールの制定を行っていないため、SECの定義する取引所や仲介業者には該当しないと意見書では主張されている。

さらにオープンシーは、「ブローカー」にも該当しないと主張。その理由として、「勧誘や投資アドバイス」、「取引の交渉や実行」、「顧客資産の保管」などを行わず、資金調達、貿易文書の処理、評価の実行、またはその他の仲介サービスの特徴を有していないことなどを挙げている。

オープンシーはSECに対し、まずは非公式なガイダンスを公表し、NFTマーケットプレイスに関する法的な不確実性を早期に解消するよう要請している。

また、長期的には、オープンシーのようなNFTマーケットプレイスが、証券取引所の定義(Rule 3b-16)および証券取引法第15条(a)(Exchange Act Section 15(a))に基づくブローカー登録義務の適用から除外されるよう求めた。

またオープンシーは、SECによる従来の執行姿勢について「NFTマーケットプレイス固有のリスクに基づくものではなく、SECの管轄権拡大を目的としているように見える」と批判。SECがそのようなアプローチをやめる代わりに、実際の課題が規制上で解決されることをオープンシーは推奨している。

また、SECによるこれまでの執行アプローチが業界に大きな不確実性をもたらしているとし、米国のテクノロジー企業がこの分野をリードする能力を維持できるよう、SECに対して明確化を強く求めた。

オープンシーは昨年8月、SECより「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取っている。

なおウェルズ通知とは、SECが企業・個人に対して、法的措置を講じる予定であることを通達する公式文書である。

「ウェルズ通知」を受け取った際にオープンシーは、反論と見解を表明し、NFTは「基本的にクリエイティブな商品」であり、「証券」ではないという立場を公式に表明した。

また、オープンシーは「ウェルズ通知」を受け取ったNFTのクリエイターや開発者の弁護士費用を賄うため、500万ドルを寄付することも表明した。

その後今年2月には、オープンシー共同創業者でCEOのデビン・フィンザー(Devin Finzer)氏がXにて、SECによるオープンシーの調査が終了したことを発表していた。

参考:意見書
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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