Taurusが銀行間デジタル資産ネットワーク立ち上げ
スイスのフィンテック企業トーラス(Taurus)が、同社のカストディ(保管)サービス「トーラスプロテクト(Taurus-PROTECT)」を利用する金融機関のためのネットワーク「トーラスネットワーク(Taurus-NETWORK:TN)」をローンチしたと4月9日に発表した。
「トーラスプロテクト」は、銀行や金融機関が自社のデジタル資産を保管しつつ、業務上の主権を保持できるカストディソリューションである。
そして今回ローンチされた「TN」は、「トーラスプロテクト」を利用する機関同士をつなぎ、担保付き融資などの新たなユースケースの創出やオンチェーン業務の大幅な効率化、規制遵守体制の強化を目指すネットワークとなっている。「TN」に参加する機関は、取引対象とする法域をネットワーク内で選択できるため、自社の規制要件や戦略に応じてネットワークを活用することが可能だ。
また同ネットワークは、パブリック型およびパーミッション型のDLT(分散型台帳技術)に対応しており、暗号資産(仮想通貨)やトークン化証券、デジタル通貨など様々な資産クラスを取り扱うことが可能だという。さらに「TN」には担保管理システムが組み込まれており、参加機関は資金や資産を担保として他の参加機関に提供し、代わりにクレジットを即時に受け取れるとのこと。
「TN」に参加する銀行については、保有するバランスシートを活用してネットワーク内で組成されたシンジケートローンに参加できるとのこと。また暗号資産取引所は、資金を移動することなくリスクに応じたオフエクスチェンジ取引を行えるという。なおシンジケートローンとは、複数の金融機関が連携して1つの大口融資を実行する仕組みだ。
また「TN」には、リアルタイム決済機能も備わっており、オンチェーンおよび法定通貨による決済スピードを最適化しつつ、決済リスクを抑える機能が導入されているとのことだ。
さらに同ネットワークでは、身元管理やホワイトリスト登録といったトランザクション管理における業務負担を90%以上削減可能とのこと。また改ざん不可能な身元証明や、デジタルアドレスの自動交換および検証、即時の転送確認も可能だという。
発表によると今月時点で「TN」には、すでに4大陸10ヵ国にまたがる35行以上が参加しており、世界最大規模の銀行間デジタル資産ネットワークとなっているという。
参加機関には、アラブバンクスイス(Arab Bank Switzerland)、キャピタルユニオンバンク(Capital Union Bank)、フロウデスク(Flowdesk)、ISPグループ(ISP Group)、ミッションバンク(Misyon Bank)、スイスクオート(Swissquote)が含まれている。なお2025年上半期中には、さらに多くの主要金融機関が参加する予定とのことだ。
参考:トーラス
画像:iStock/digitalmazdoor-digitalmazdoor