プロ向けトークン販売のルール整備
金融庁および日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が、適格機関投資家を対象とした暗号資産の販売に関する新たな規制枠組みを、4月9日に施行した。
今回の規制強化は、企業によるトークン発行(プロ向けトークン販売)に特化したもので、金融庁の「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」(第16章:暗号資産交換業者関係)および、JVCEAによる「適格機関投資家向け販売規則」の改正が行われた。
金融庁が公開した改正ガイドラインでは、次の点が明記された。
暗号資産交換業者がプロ向けトークン販売を行う場合、対象となる暗号資産には「プロ向け」である旨を名称に明示することが義務付けられる。
この表記は、当該トークンが適格機関投資家にのみ販売されるものであることを明確に示すためのものだ。
また、一度「プロ向け」として取り扱われた暗号資産を、一般向けに販売する場合には、あらためて変更内容の届出が必要となる。
加えて、暗号資産交換業者は「プロ向け暗号資産」を販売する際、適格機関投資家に対し、プロジェクトの詳細、発行者情報、技術的特徴やスマートコントラクトの内容、移転制限のルールなどについて詳細な情報開示を行う必要がある。
また、JVCEAも同日、「適格機関投資家向け暗号資産の販売に関する規則」およびそのガイドラインを発表した。
同規則では、暗号資産交換業者が適格機関投資家に対して行う「適格新規暗号資産」の販売業務に関して、必要な事項が定められている。
また、対象となるトークンは「適格新規暗号資産」と定義され、発行者・交換業者・販売の委託関係が明確であることや、譲渡制限(移転制限)が明示されていること。法的・技術的な設計が明記されていることなどが要件になる。
販売先は金融商品取引法上の適格機関投資家に限定されており、再販売を防ぐための譲渡制限が義務付けられている。
暗号資産交換業者は、発行者からの委託を受けて販売業務を担うことができる。
暗号資産交換業者は発行者から販売を委託されるにあたり、事前に暗号資産および発行者に関する情報の届出を受領する必要がある。
販売時には「プロ向け」であることを明示し、購入者に対して詳細な情報提供が義務付けられている。
また、投資家および発行者の反社会的勢力排除や、マネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)への対応も求められる。
プロ向けトークン販売の枠組みに関して、金融庁の改正事務ガイドラインと、JVCEAの適格機関投資家向け暗号資産の販売に関する規則が、本日4/9施行となりました。
— 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA) (@JCBA_org) April 9, 2025
■金融庁 「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」(16… https://t.co/3ScheUTQM7
画像:iStock/berya113