リップル社、英政府に暗号資産とステーブルコイン規制の迅速整備を求める。ロンドンで政策サミット開催

暗号資産規制整備の加速求める

米リップル(Ripple)社は、英ロンドンで「Digital Asset Policy & Regulations: UK Policy Summit」を4月初旬に開催し、暗号資産(仮想通貨)およびステーブルコインに関する規制整備の加速を英国政府に強く求めた。リップル社が4月6日に報告している。

このサミットは、英国のフィンテック業界団体「イノベート・ファイナンス(Innovate Finance)」および大学コンソーシアム「UKブロックチェーン技術センター(UK Centre for Blockchain Technology)」の協力のもと実施され、業界関係者や政策立案者が集まり議論を交わした。

リップル社は、英国が外国為替・資本市場・保険などの分野で強みを持つ世界有数の金融センターであり、デジタル資産分野においても国際的リーダーとなる潜在力があると強調。そのためには、欧州連合(EU)、シンガポール、香港といった他地域における規制整備の先行に追いつくため、暗号資産とステーブルコインのルールブックを早期に整備する必要があるとした。

サミットでは、次の3つの主要テーマに焦点が当てられた。

1つ目は、「セカンドムーバー・アドバンテージ(後発者利益)」の活用と規制の迅速化だ。

英国は他国の先行事例を活かし、リスクに配慮したイノベーション推進型の規制体制を構築するチャンスを有するとされた。一方で、その好機は狭まりつつあり、金融行為監督機構(FCA)には、迅速かつ緊急に規制の明確性を提供することが求められた。

2つ目は、ステーブルコインの戦略的導入である。

ステーブルコインは、暗号資産市場だけでなく、国際送金や即時決済の中核的インフラとしての役割が増しており、英国市場での導入促進と明確な規制枠組みの整備が急務とされた。

また、英国がデジタル資産ハブとしての地位を確立するためには、海外発行のものも含め、さまざまなステーブルコインが英国で利用可能であることを保証すべきとされた。

FCAには、ステーブルコインのルールブック策定を前倒しし、できる限り早期に明確性を提供するよう提言された。

3つ目は、トークン化による金融市場の構造変革だ。

英金融協会(UK Finance)は、2030年までに世界の資本市場の10%がトークン化される可能性があると予測しており、これは4兆ドル(約591兆円)から5兆ドル(約739兆円)に相当するという。

また、すでに複数の国際的なパイロットプロジェクトが成功しており、英国政府および規制当局には、法的・制度的障壁の除去と包括的な支援策の導入が求められた。

リップル社は、ロンドンに大規模な拠点を構える他、XRPL助成金プログラムや大学ブロックチェーン研究イニシアティブ(UBRI)への支援を通じて、英国における開発者支援を行ってきたと強調。今回のサミットにおいて、英国が「デジタル資産のグローバルハブ」となることへの期待が高まったとしている。

リップル社は今後も、業界団体、規制当局、政策立案者と連携し、英国におけるイノベーションと競争力強化を支援していくとしている。

英国政府は昨年11月、2025年初頭に暗号資産部門の統一規制枠組みを導入する計画を明らかにしていた。

財務省経済担当大臣のチューリップ・シディーク(Tulip Siddiq)氏は、ステーブルコインおよびステーキングサービスの規制を単一の包括的体制に統合し、監督プロセスを合理化すると発表していた。

英財務省は、2024年中に具体的な法案を議会に提出し、2025年までに法定通貨を裏付けとするステーブルコインの規制をFCAの権限下に置く意向を示していた。

なお、ステーブルコインおよびステーキングサービスに関する法案は、2024年夏の保守党政権下での可決が見込まれていたが、英総選挙の影響により進展が遅れていた。

参考:発表
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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