米上院、SEC委員長にトランプ指名のポール・アトキンス承認

SEC委員長にポール・アトキンス

米上院が、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が証券取引委員会(SEC)の委員長に指名したポール・アトキンス(Paul Atkins)氏を人選として承認した。これにより、ビジネス寄りの弁護士であるアトキンス氏が、大きな変革の渦中にある同委員会のトップに就任することとなった。

この承認は主に党派に沿った投票結果であり、上院は52対44でアトキンス氏を承認した。アトキンス氏は2002年から2008年までSECの委員を務めていた経歴を持つ。なお、トランプ氏率いる共和党は上院100議席中53議席を保有している。

アトキンス氏は、ワシントンの弁護士であり、豊富な経験を有し、過去には暗号資産業界との関係もあった人物である。同氏が着任するSECは、現在大きな混乱の中にある。

トランプ氏の盟友であるイーロン・マスク(Elon Musk)氏率いる「政府効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)」は同委員会を精査し、ホワイトハウスの指令の下で暫定指導部は組織再編に取り組んでいる。歴史的な市場の変動により人員が大幅に不足する中、職員たちはさらなる人員削減を懸念している。

1月20日の就任以来、トランプ政権は支出削減のために複数の連邦機関を縮小しており、これまでに20万人以上の職員が職を失っている。

先月行われた承認公聴会で、アトキンス氏は省庁におけるコスト削減の取り組みについて「DOGEと確実に協力する」と述べた。

過去の投票記録から、アトキンス氏はSECの執行力を抑制する可能性があると見られている。上院銀行委員会の民主党筆頭委員であるエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)氏は、アトキンス氏が2008年の金融危機以前に下した政策判断について厳しく批判している。

アトキンス氏は銀行委員会に対し、SECの法的権限をより限定的に解釈した上で、「適切に調整された」規制を進めていく方針であると述べた。

財務開示においてアトキンス氏は、妻との共同保有資産が少なくとも3億2,800万ドル(約480億5,560万円)、最大で5億8,900万ドル(約864億9,630万円)を超える可能性があることを明らかにした。

公聴会に先立ちトランプ陣営は、アトキンス氏がすべての倫理および開示要件を完全に順守しており、承認された場合にはSECの倫理担当官と協力する意向であると発表していた。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
US Senate confirms Trump’s pick to be Wall Street regulator
(Reporting by Douglas Gillison and Kanishka Singh in Washington; Editing by Stephen Coates)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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