HSBCがCorda上で100億ドルの私募債をデジタル化したことを発表
HSBCがR3のCorda Blockchain上で100億ドルの私募債の増資を実施したことが、Coindeskの報道によって明らかになった。
2019年11月末に、3月を目処に200億ドル規模の私募債記録をブロックチェーン上で管理すると発表していたが、顧客ニーズに応えるための機能拡充に時間を要しているとのことだ。
HSBCのカストディ・イノベーションおよび戦略イニシアチブ担当責任者である Ciaran Roddy(シアラン・ロディー) 氏は「今後12~18 ヶ月の間に、さらにCorda上で新規および既存の顧客からの私募債の量と価値を大幅に増加させることができると確信しています」とコメントしている。
さらにRoddy(ロディー)氏は「HSBCは、資産を1つにまとめたバスケットであるトークンだけでなく、顧客からファンドのライフサイクル全体にトークンを使用するという需要も考えています。そして、ブロックチェーン技術が主流になっていく世の中で、我々自身がしっかりと将来を見据え、顧客が金融情報を入手するために我々に直接相談するのではなく、セルフサービスツールを提供することで顧客に付加価値を与えることができるようになっていくでしょう」とコメントしている。
あたらしい経済はSBI R3 Japan マネージャーの山田 宗俊氏へ取材。山田氏は「Cordaのグローバルでの浸透度は変化していないと感じます。つまり、HyperLedger、Quorum、Cordaの3つのブロックチェーンのうちの1つという感じです。日本に関しては、日本の企業がCorda導入を検討してもらうためには、国内事例を出すしかないと思っています。早急に出せるように仕掛けています」とコメントしてくれた。
編集部のコメント
Digital Vaultの用途は、投資家が私募で購入した証券記録をリアルタイムにアクセスし、照会できることです。報道でユーザーのニーズに機能を適応させるのに時間がかかったとありますが、それはHSBCは利回りを強く求める投資家のニーズに合わせていたからだと考えられます。
昨年11月の報道で、ブロックチェーンをHSBCが利用する理由を説明しています。HSBCの関係者は「いわゆる私募証券の記録は通常、紙に保管されており、標準化が行われていないため、アクセスが面倒で時間がかかってしまいます」とのことです。
HSBCは2019年11月に最大500億ドル相当の私募資産を管理していることを明らかにしています。HSBCは、私募の世界的な価値が2022年までに7.7兆ドルに達すると予想していて、これは2014年から60%の増加となります。 資産運用会社の顧客への配布額も、9%から20%に増加すると考えているようです。今後ますます私募の需要が高まることを想定し、運用コストを下げられるブロックチェーンを活用するのは、賢明な判断ではないかとあたらしい経済編集部は考えています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
イメージ:(Guzaliia-Filimonova)