BNYメロン、ブロックチェーン活用の「資産管理会計ツール」提供開始

BNYメロンがブロックチェーン活用会計ツールを提供

米大手銀行のBNYメロン(Bank of New York Mellon Corporation)が、新サービス「Digital Asset Data Insights(デジタルアセットデータインサイト)」のローンチを4月4日に発表した。

「Digital Asset Data Insights」は、カストディアン(資産管理者)が管理している資産に関するオンチェーンおよびオフチェーンの会計情報をブロックチェーンであるイーサリアム(Ethereum)上に直接配信し、公開するサービスだ。

昨今、カストディアンが管理する資産の所在を証明する「準備金証明」については多くの議論があり、不正操作の可能性が指摘されている。特に実物資産(RWA)のトークン化においては、トークンがブロックチェーン外で保有される資産と結びついたものであることが多いため、証明はさらに重要になる。

これまでの最良の証明方法は、ファンドが会計システムからPDFをダウンロードしてインターネットに投稿するというものであった。今回のローンチされた「Digital Asset Data Insights」では、データがカストディアンから直接提供され、オンチェーンデータとして公開されるため、誰でもアクセスし閲覧可能になるという。また他のスマートコントラクトからデータを参照し、処理に組み込むなどの使用もできるとのこと。

これにより資産のリスク管理が効率的になり、カストディアンとその顧客は、より有効な資金活用を行うための分析が可能になるという。

BNYメロンのグローバルデジタル資産部門責任者キャロライン・バトラー(Caroline Butler)氏は「今日の市場で透明なデータへのアクセスは顧客の成功にとって重要である」とし、今回の取り組みについて「分散型台帳技術(ブロックチェーン)を通じて資産ライフサイクル全体をサポートし、信頼できるソースからのデータ整合性を維持することへのコミットメントを示すものだ」と述べている。

なおBNYメロンがカストディアンを務めるオンチェーン・マネーマーケットファンド「BUIDL」を提供するブラックロック(BlackRock)が、「Digital Asset Data Insights」の最初の顧客になるとのこと。これにより同ファンドに関する会計情報がイーサリアムに公開されることになる。

BNYメロンは2021年3月、デジタル資産インフラストラクチャプロバイダー米Fireblocks(ファイアブロックス)に投資することで、デジタル資産カストディ分野に参入した最初の大手グローバルカストディアンとなった。

またBNYメロンは、米SEC(証券取引委員会)の「SAB 121(Special Accounting Bulletin 121)」暗号資産会計規則により、暗号資産カストディの提供に法外な費用がかかるようになったため、カストディ業務の進展が妨げられていた。

しかし、2024年9月にBNYメロンが同規則について、SECから例外を認められたことと、ゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長の退任後にSECの委員長代理に就任したマーク・ウエダ(Mark Uyeda)氏が「SAB 121」を撤回した。こういった背景により、今後のBNYメロンのカストディ事業の動向に注目が集まっている。 

参考:BNYメロンブログ
画像:iStocks/iLexx

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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