「ASPIRe」戦略の一環として
香港証券先物委員会(SFC)は、認可を受けた暗号資産(仮想通貨)取引所(VATP)およびファンドがステーキングサービスを提供することを認める新たなガイダンスを4月7日に発表した。
SFCは発表の中で、ステーキングがブロックチェーンネットワークの安全性を高め、規制された市場環境下で投資家が暗号資産から利回りを獲得できるようにする潜在的メリットを認識していると述べた。
今回の新ガイダンスにより、VATPは商品およびサービスの提供拡大が可能になる。
このガイダンスに従い、VATPは投資家のリスク管理のため、サービスに関連するエラーを防止する手段を維持し、顧客のステーキングされた暗号資産を保護するとともに、ステーキングされた資産がさらされる潜在的リスクについて適切な開示を行うことが義務付けられる。
またVATPは、関与するプロセス、手数料、最低ロックアップ期間、障害発生時の事業継続に関する取り決めについて、顧客に明確に通知しなければならない。
また認可されたファンドは、認可を受けたVATPおよび認可機関を通じてのみ保有する暗号資産のステーキングを行うことが義務付けられる。なお、流動性リスクを管理するために上限が設定されている。
SFCによれば、今回発表されたガイダンスは、「ASPIReロードマップ」の柱の一つであるという。
SFCは2月19日、暗号資産の国際的ハブを目指す香港の戦略的イニシアティブを概説した「ASPIReロードマップ」を発表した。
このロードマップは、「アクセス(Access)」、「保護(Safeguards)」、「商品(Products)」、「インフラ(Infrastructure)」、「関係(Relationships)」の5つの柱で構成されている。
また12のイニシアティブからなるこのロードマップでは、合理化された市場アクセス、適応性のあるコンプライアンスおよび商品のフレームワーク、TradFi(伝統的金融)の信頼性とブロックチェーンの効率性を橋渡しするインフラのアップグレードが目標とされている。
なお周辺国の規制動向として、シンガポールは投資家保護の観点から、2023年にリテール顧客(一般投資家)に対して、暗号資産のステーキングおよびレンディングサービスの提供を禁止すると発表している。
参考:発表
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