FRB理事が「ステーブルコインは米決済システムに有益」との見解
米連邦準備理事会(FRB)のクリストファー・ウォラー(Christopher J. Waller)理事が、「ステーブルコインは国内決済システムに有益だが、多種多様なステーブルコインの流通を米金融システムが支えきれるとは思わない」との見解を4月4日に表明した。
ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)が開催したイベントでの講演で明らかにした。ウォラー理事はFRBで決済システム対応を担っている。
同理事は「私個人はステーブルコインを強く支持している。3年以上前から、決済システムに競争と効率性、スピードをもたらす可能性があると主張してきた」と述べた。
ただ、「(ステーブルコイン規制の)法律が成立した後、100種類のステーブルコインが流通するだろうか。私はそうは思わない」と付け加えた。
さらに、同理事はFRBが独自のデジタルドルを採用する必要性はないとの見解も改めて示し、民間部門が決済システムの革新をけん引するのが最善だと主張した。
FRBの役割について「業界関係者を集めて、何が問題なのか、どう解決できるのかを一緒に考える場を設け、どこに問題があるかを共に考え、それをどのように解決できるかを探ることだ」と話した。
なお4月4日に米証券取引委員会(SEC)は、米ドルに1対1でペッグされ、交換可能な法定通貨または高流動性資産で裏付けられた「カバード・ステーブルコイン」は、「非証券」とみなし、取引報告義務の対象外になると公式見解を示している。
また4月3日には、準備金要件やマネーロンダリング防止基準など、ドル建てステーブルコインの規制枠組みを構築する内容の法案、「STABLE法」が米下院金融サービス委員会によって可決されている。さらに同委員会は同日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行・利用を連邦準備制度(FRB)などの連邦銀行に禁じる法案「CBDC反監視国家法(CBDC Anti-Surveillance State Act)」も可決している。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
ステーブルコイン、米決済システムに有益=FRBウォラー理事
画像:Reuters