EYが「Nightfall_4」公開
4大監査法人の1つであるアーンストアンドヤング(Ernst & Young:EY)が、企業向けのブロックチェーンソリューション「ナイトフォール(Nightfall)」の最新バージョンとなる「ナイトフォール_4(Nightfall_4)」のリリースを4月3日に発表した。最新バージョンでは、ZK(ゼロ知識:Zero-Knowledge)ロールアップ技術が採用されている。
「ナイトフォール」は、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上でプライベートな取引を実現するために、暗号技術を利用した証明技術であるゼロ知識証明(zero-knowledge proof:zkp)を活用するソリューション。企業はこれを活用することで、イーサリアムが提供する透明性、不変性、セキュリティを損なうことなく、メインネット上で効率的にプライベートトランザクションを自動化できる。
EYは2019年に「ナイトフォール」を初公開して以来、継続的にアップデートを重ねており、今回の「ナイトフォール_4」は4度目のメジャーリリースとなる。そして「ナイトフォール_4」では、ZKロールアップを基盤としたイーサリアムのレイヤー2(L2)ソリューションとして設計されている。
なおバージョン3の「ナイトフォール_3(Nightfall_3)」では、zkpとオプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollup)を組み合わせた設計だったが、「ナイトフォール_4」ではZKロールアップを採用した設計となった。
これにより、誤ったブロックに対するチャレンジや、トークンの引き出し時に必要とされていた流動性の提供が不要となり、即時ファイナリティが実現されている。
なおチャレンジとは、オプティミスティックロールアップにおけるブロックの正当性を巡る異議申し立て期間のことを指す。
さらに「ナイトフォール_4」で生成されたブロックは、チェーンに追加された時点で即座に確定するため、企業利用における効率化が見込まれる。また、デジタル証明書の標準規格である「X.509」を用いたアクセス制御や、プライバシーとスケーラビリティの両立も引き続き「ナイトフォール_4」では提供されている。
「ナイトフォール_4」のソースコードおよび関連ツールは、パブリックドメインとしてギットハブ(Github)上に公開されている。
なお前述したZKロールアップとは、zkpを活用したロールアップ方式であり、トランザクションをオフチェーンで実行したうえで、それが正しく処理されたことを暗号学的に証明する仕組み。この証明と必要なサマリーデータをイーサリアムに保存することで、セキュリティを確保しながらガス代(ネットワーク手数料)の削減やネットワーク混雑の緩和を実現する。
またオプティミスティックロールアップとは、イーサリアムのL2で広く使われているロールアップ技術のひとつだ。この方式では、L2ネットワーク上で実行・集約されたトランザクションを、L1であるイーサリアムにまとめて記録する。トランザクションのすべてが正しいという前提で処理され、不正があった場合に備えてチャレンジ期間が設けられているのが特徴だ。
参考:EY
画像:iStock/BalkansCat