ブロックチェーン活用で担保管理プラットフォームを立ち上げ
米国金融市場に決済インフラを提供する大手金融企業DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)は、トークン化されたリアルタイム担保管理のための新プラットフォームを立ち上げたと、4月2日に発表した。
担保は金融全体の安定性を支える重要なリスク軽減ツールだが、市場の複雑化とコスト削減の圧力が高まる中で、高品質な担保に対する需要も増加していると、DTCCは指摘している。
このプラットフォームでは、ブロックチェーン上で担保をトークン化することで、スマートコントラクトによるリアルタイムの移転と自動化を可能にし、これらの課題に対処することを目指している。
担保管理プラットフォームは、AppChain上に構築されている。
なお、AppChainはDTCCが開発したブロックチェーンベースのインフラストラクチャであり、「LF Decentralized Trust(LFDT)」のベス(Besu)ブロックチェーンを基盤として構築されている。また、AppChainはプライバシー、セキュリティ、データの管理を強化し、デジタル資産のライフサイクル全般を管理するための仕組みである「ComposerX」を導入している。
ちなみに、LFDTのベスブロックチェーンは、イーサリアム(Ethereum)と互換性がある、企業向けのブロックチェーンネットワークだ。
このプラットフォームは、グローバルな担保移動の流動性と速度を高め、資本効率と流動性を改善し、「市場参加者がデジタルアプリケーションを展開するためのオープンなデジタル流動性エコシステムを実現」することを目的としている。
DTCCは、4月23日に「The Great Collateral Experiment」と題したライブイベントで、この新しいプラットフォームのデモンストレーションを行う予定である。
このイベントでは、業界関係者がトークン化された資産を市場間でどのように流動化できるかをテストするという。また、トークン化された担保のグローバルな基準を確立するために、規制当局や業界リーダーと協力していくと、DTCCは述べている。
DTCCデジタルアセット部門のグローバルヘッドであるナディーヌ・チャカー(Nadine Chakar)氏は、「このプラットフォームは、これまでのデジタル担保イニシアチブよりもオープンで柔軟性があり、ダイナミックで包括的なものを作り上げたという点で、他に類を見ないものだ」と述べた。
DTCCデジタルアセット部門の最高技術責任者(CTO)であるダン・ドネー(Dan Doney)氏は、「担保の流動性は、機関投資家によるブロックチェーン利用の『キラーアプリ』。私たちはテクノロジー専門家と市場参加者の連合をまとめ、このテクノロジーのスピードとオープン性が、いかに安全かつ確実に従来の市場の流動性を大規模に開放できるかを実証することに成功した」と述べている。
参考:DTCC
画像:iStock/FlashMovie