フィデリティ・クリプトIRAを提供開始
米大手資産運用会社フィデリティ(Fidelity)の子会社「フィデリティ・デジタル・アセット(Fidelity Digital Assets)」が、顧客が暗号資産(仮想通貨)に直接投資できる新たな個人退職勘定(IRA)を開始した。4月2日頃に公開された同サービスのウェブサイトで確認できる。
IRAは、米国で最も一般的な退職後資金の積立制度であり、金融機関に口座を開設し、一定額までの掛金に対して所得控除などの税制優遇が受けられる任意加入型の個人年金制度である。
今回提供される「フィデリティ・クリプトIRA(Fidelity Crypto®)」では、次の3種類の口座が用意されている。
1つ目は、非課税で運用益を得られる可能性のある「フィデリティ・クリプト・ロスIRA(Fidelity Crypto® Roth IRA)」。2つ目は、所得控除による節税効果を得ながら、運用益は課税繰延で増やせる「フィデリティ・クリプト・トラディショナルIRA(Fidelity Crypto® Traditional IRA)」。3つ目は、他の退職口座から資金を移し、課税を繰り延べつつ暗号資産に投資できる「フィデリティ・クリプト・ロールオーバーIRA(Fidelity Crypto® Rollover IRA)」だ。
この「フィデリティ・クリプトIRA(Fidelity Crypto IRA)」では、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)が取引可能だ。
なお、口座の開設や維持に手数料はかからず、フィデリティは暗号資産の取引執行価格に対して1%のスプレッドを課す。
「フィデリティ・クリプト」では、「フィデリティ・デジタル・アセット」と同水準のセキュリティを提供するとしており、大半の暗号資産は、インターネットに接続されていないコールドウォレットに保管されているという。
暗号資産を年金や退職金など老後資産の一部として導入する動きは、近年広がりを見せている。
英国の年金サービス企業カートライト(Cartwright)は、2024年11月4日、同社が運用する年金制度の投資ポートフォリオにビットコインを導入したと発表。
2024年7月には、米ニュージャージー州ジャージーシティのスティーブン・フロップ(Steven Fulop)市長が、同市の年金基金の一部資金をビットコイン現物ETFに投資する方針を表明。同年8月には、韓国の国民年金公団(NPS)が、ビットコイン関連株であるコインベース(Coinbase)に続き、マイクロストラテジー(MicroStrategy)を投資ポートフォリオに追加した。
一方で、ブラジルの最高金融政策機関である国家通貨評議会(CMN)は、2025年3月、過度なリスクを理由に、一部の年金基金による暗号資産への投資を禁止する決議を承認している。
参考:フィデリティ・クリプトIRA
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