トランプ一族が経営権を握る
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とその家族が関与する暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial:WLFI)」において、トランプ一族が経営権を掌握し、影響力を強めているようだ。ロイターが3月31日に報じた。
報道によれば、トランプ一族は今年1月に新会社「WLF Holdco LLC」を設立し、プロトコル開発を監督する体制へと移行したという。トランプ前大統領および特定の家族メンバーに関連する事業体「DT Marks DeFi LLC」が、この新会社の株式の60%を保有しているとされる。
また、「WLFI」の共同設立者である暗号資産起業家ザック・フォークマン(Zak Folkman)氏とチェイス・ヘロ(Chase Herro)氏が、「WLFI」の「唯一の取締役およびメンバー」という地位から外れていることが、「WLFI」のウェブサイト上の記載から確認できる。
今回の発表は、「WLFI」がWLFIトークンの2回目の提供を通じて、2億5,000万ドル(約374億円)の追加資金調達を行った後に行われた。「WLFI」は、就任式当日までの数日間で最初の200億WLFIトークンを完売させ、その後、1月19日にWLFIトークン供給量の5%を追加で開放した。
トランプ一族は、WLFIトークン販売による純収益の75%、および「WLFI」の事業が軌道に乗った場合には、プロトコル運用益の60%を受け取る権利を有するとされている。
この取り決めにより、トランプ一族は現在、トークン販売で調達された5億5000万ドル(約823億円)のうち、約4億ドル(約599億円)を受け取る見込みであり、WLFIトークンがさらに販売されれば、より多くの利益を得る可能性がある。またロイターの試算によると、プラットフォーム構築のために、これまでに調達した5億5,000万ドルの5%が残されるという。
さらに、供給上限が1,000億に設定されているWLFIトークンのうち、トランプ一族および「DT Marks DeFi」は少なくとも225億トークンを保有していると見られている。
プロジェクト発表時、ドナルド・トランプ氏は「最高暗号資産提唱者」に指名され、長男のドナルド・トランプ・ジュニア(Donald John Trump Jr)氏と次男のエリック・トランプ(Eric Trump)氏はそれぞれ「Web3アンバサダー」、末息子のバロン・トランプ(Barron William Trump)氏は「最高DeFiビジョナリー」とされた。なお、エリック氏は「WLF Holdco LLC」の取締役会メンバーの一人として名を連ねている。
「WLFI」ではトークン販売前にも資金調達を行っており、トロン(Tron)創設者のジャスティン・サン(Justin Sun)氏や投資プラットフォームのWeb3Port、ベンチャーキャピタルのオディヤナ・ベンチャーズが投資している。
なお「WLFI」では、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、トロン(TRX)、チェーンリンク(LINK)、スイ(SUI)、オンドファイナンス(ONDO)、エセナ(ENA)、アバランチ(AVAX)、マントル(MNT)などのトークンを戦略的準備金として購入。
さらに3月24日には、マントル(MNT)を300万ドルで350万9,000MNT追加購入しており、平均取引価格は約0.84ドルだった。
参考:報道
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