米取引所グループICEとサークルがMOU締結、「USDC」や「USYC」で金融商品開発へ

デジタル資産の活用拡大へ

米取引所グループ「インターコンチネンタル取引所(ICE)」と、米ドルステーブルコイン「USDC」を発行する米サークル(Circle Internet Group)が、デジタル資産を活用した商品やサービス開発を模索する覚書(MOU)を3月27日に締結した。

この覚書に基づき、ICEが顧客向けの新しい商品やサービスを開発する際に、サークルの「USDC」およびトークン化されたマネーマーケット商品である「US Yield Coin(USYC)」の利用が検討されることになった。

サークル共同創業者兼CEOのジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏は、「ICEの市場における信頼性とグローバルネットワークは、USDCを新たな用途へ統合するための独自の経路を提供する」と述べた。

ニューヨーク証券取引所社長のリン・マーティン(Lynn Martin)氏は、「デジタル資産が米ドル同様に信頼されるようになれば、サークルのステーブルコインとトークン化資産は資本市場でより大きな役割を担う」と語った。

この覚書に基づき両社は、ICEのデリバティブ取引所、清算機関、データサービス、その他の市場において、サークルのプロダクトをベースとしたアプリケーションの共同開発に取り組む。これにより新たな市場創出や商品開発を推進する方針だ。

ICEはエネルギー、排出権、農産物、株価指数など多様な商品の現物・先物・オプション等の取引を展開する米大手取引所グループであり、ニューヨーク証券取引所、ICE Futures U.S.、ICE Futures Europe、ICE Futures Canadaなどの取引所を傘下に持つ。また、ICEの取引所と清算機関は、投資、資金調達、リスク管理を支援している。

サークルは、規制対象の関連会社を通じて、完全準備型ステーブルコイン「USDC」および「EURC」を発行する国際的な金融テクノロジー企業である。

日本国内では3月25日、「USDC」の普及を目的に、SBIホールディングスとの合弁会社設立に合意したことを発表した。

なおサークルは、米暗号資産取引所コインベース(Coinbase)からの出資を受けている企業でもある。サークルはコインベースと共に「USDC」を運営するため、2018年に共同企業体「センターコンソーシアム(Center Consortium)」を設立していた。

同企業体は2023年に解散しており、「USDC」の発行やガバナンスなどの発行者としての責任は、サークルへ完全に譲渡されている。コインベースはサークルへ出資することで、同社との連携を継続している。

参考:発表
画像:iStock/pgraphis・Makalo86・noLimit46

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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