不正取引でマーケットメイカーを排除
暗号資産(仮想通貨)取引所大手バイナンス(Binance)が、ムーブメント(Movement)プロジェクトに関連する不正行為を理由に、あるマーケットメイカーを排除したと3月25日発表した。
発表によれば、このマーケットメイカーは、「MOVE」のバイナンス上場の翌日(昨年12月10日 、UTC)に約6,600万MOVE売却したが、買い注文をほとんど行わなかったという。
また、このマーケットメイカーは今年3月18日にバイナンスから取引停止処分を受けるまでに、最終的に3,800万USDTの純利益を上げていたとのことだ。
これを受けバイナンスは、ムーブメントラボ(Movement Labs)とムーブメントネットワーク財団(Movement Network Foundation)にこの不正行為を通知し、ユーザー補償を目的にマーケットメイカーの収益を凍結したという。
今後、このマーケットメイカーのバイナンスでの活動は禁止されることとなった。
また、ムーブメントネットワーク財団は今後の対応として、マーケットメーカーから回収されたすべての現金収入で、「ムーブメントの戦略的準備金(Movement Strategic Reserve)」を設立すると報告。
これは、長期的な使用のためにMOVEトークンを購入し、USDTの流動性をムーブメントのエコシステムに戻すための3,800万USDTの買い戻しプログラムだという。
なお、買い戻しは今後3カ月間にわたりバイナンスで実施され、購入したUSDTは「ムーブメントの戦略的準備金」のオンチェーンウォレット(0xA14C8e3eBb2Da43d027dC2c1b763387B9D59cACe)に送金される予定だ。
また、「ムーブメントの戦略的準備金」の設立は、市場にも好意的に受け止められたようだ。
この発表を受け、3月26日にMOVEトークンの価格は一時27%以上上昇を記録した。
なお、バイナンスおよびムーブメントネットワーク財団はマーケットメイカーの名前を公表していないが、オンチェーン分析で知られるZachXBT氏はXにて、投資家からの情報として「Web3Port」だと報告している。
バイナンスは3月9日、今回と同様に不正を働いたマーケットメイカーに対し、契約を解除しプラットフォームから排除したことを発表していた。
そのマーケットメイカーはGoPlus Security(GPS)およびMyShell(SHELL)のマーケットメイキングに関与していたことがバイナンスから明かされている。
MOVEについて
MOVEは、「ムーブメント(Movement)」が発行する独自トークンだ。
「ムーブメント」では、メタ(Meta)のブロックチェーン研究開発部門「ディエム(Diem)」が開発したプログラミング言語「ムーブ(Move)」を採用している。
ムーブ(Move)は、Diemの元開発チームメンバーが開発したL1ブロックチェーン「アプトス(Aptos)」および「スイ(Sui)」でも使用されている。
マーケットメイカーとは
マーケットメイカー(Market Maker) とは、市場の流動性を提供し、取引のスムーズな成立を支援する業者や個人のこと。特に暗号資産市場では、価格変動が激しく、取引量が少ないとスプレッド(売値と買値の差)が広がるため、マーケットメイカーが適切な価格で注文を出し続けることで、流動性を確保し、取引の安定性を保つ役割を果たしている。
マーケットメイカーは、常に売り注文(Ask)と買い注文(Bid)を市場に提供することで、取引が迅速に成立するように働きかけている。これにより、スプレッドが狭まり、取引コストが低下する仕組みだ。
Update an investor tells me it’s @Web3Port_Labs so avoid doing business with them at all costs and check their recent reposts for other projects they are potentially working with.
— ZachXBT (@zachxbt) March 25, 2025
参考:バイナンス発表、ムーブメントネットワーク財団の声明、コインマーケットキャップ
画像:iStock/metamorworks