米国初のドル預金トークン化の実証完了
米ワイオミング州のカストディア銀行(Custodia Bank)と、米テキサス州のヴィンテージ銀行(Vantage Bank)が連携し、パーミッションレス(許可不要)ブロックチェーン上で米ドル普通預金をトークン化する実証実験を完了した。カストディア銀行が3月25日に発表した。
この実証実験は、米国の銀行として初めての取り組みとなる。銀行顧客に対してステーブルコイン「エイビット(Avit)」を発行・送信・償還する形で試験的に実施されたとのこと。なお「エイビット」は、イーサリアム(Ethereum)メインネット上でERC-20トークン規格を利用して発行・転送・償還されたという。
また同実験は全8ステージに分けて行われたとのこと。銀行顧客による自己保管(セルフカストディ)や、銀行システム外での企業間(B2B)取引、そしてカストディア銀行への償還を通じて、法定通貨である米ドル預金に再変換するプロセスが含まれていたという。
ヴィンテージ銀行は、「エイビット」の法定通貨準備金の管理およびフェドワイヤー(Fedwire)と自動決済機関(ACH)による決済業務を担当。カストディア銀行は、ブロックチェーン上でのトークン発行・償還や、カストディ業務、取引モニタリング、照合作業を、独自の「エイビットマネジメントシステム(Avit Management System)」により実施したとのこと。
また、両行は米国の銀行法に則り、銀行秘密法(BSA)、マネーロンダリング防止法(AML)、外国資産管理局(OFAC)規制など、すべての関連規制に準拠したとのことだ。
なおカストディア銀行は2023年11月より、独自開発のビットコイン(BTC)保管(カストディ)プラットフォームを提供開始している。
ちなみに前述したフェドワイヤーは、米国連邦準備制度(FRB)を通じて企業、消費者、銀行、政府機関間でリアルタイムに資金を電子送金できる決済システムだ。2022年3月には1,800万件以上の取引が行われた。
またACHは、全米自動決済協会(Nacha)が運営するネットワークで、銀行や信用組合などの金融機関が資金を電子的に送受信するためのインフラである。全米自動決済協会は、銀行、信用組合、決済会社などから成る大規模グループが所有する独立組織となっている。
参考:カストディア銀行
画像:iStock/BlackSalmon