トヨタが初のデジタル社債を発行へ、プログマ活用で

トヨタが初のデジタル社債を発行へ

トヨタグループとしては初となる、公募型セキュリティトークン社債(デジタル社債)の発行予定が2月10日に発表された。

発表によると同社債は個人投資家向けであり、ブロックチェーン技術を活用することにより、トヨタグループと個人投資家との結びつきをより強くすることが可能とのこと。

そしてこの特徴を活かしトヨタグループは、最適な自動車購入方法(支払方法)の選択からカーライフのサポートまでトヨタ車オーナーに提供する「TOYOTA Wallet」を介した特典プレゼントを通して、トヨタグループの事業や活動に共感・応援する人を増やしていく意向とのことだ。

なお個人向けデジタル債を発行する事業会社としては丸井、スパークスに次いでトヨタグループが3社目となる。

このST社債は「トヨタファイナンス株式会社 第1回無担保セキュリティトークン社債(愛称:トヨタウォレットST債)」として、Progmat(プログマ)社が提供するデジタルアセット発行・管理基盤「Progmat(SaaS)」を活用し、発行されるという。「TOYOTA Wallet」と「Progmat」の情報連携により、セキュリティトークン発行者又は関連事業者は、タイムリーに投資家の情報を把握し、最新の情報をもとに役務提供が行えるとのこと。

また同社債にはProgmat社の他、引受会社として大和証券、社債管理者に三菱UFJ銀行、社債原簿管理人に三菱UFJ信託銀行がそれぞれ関わるという。なお発行体はトヨタファイナンスで、「TOYOTA Wallet」はトヨタ自動車、トヨタファイナンシャルサービス、トヨタファイナンスの3社が提供している。

同社債は購入者に対し、「TOYOTA Wallet」のアプリを通じて同ウォレットに残高が特典として贈呈されるという。100,000円~400,000円で1,000円相当分、500,000円~900,000円で5,000円相当分、1,000,000円以上で10,000円相当分になるとのこと。

「トヨタウォレットST債」は、2月20日から2月27日の期間で募集を行い、3月3日に発行するという。社債総額は10億円で年限は1年、金額は10万円で利率は未定とのことだ。

Progmatについて

「Progmat」は、セキュリティトークン(ST)用のインフラ「Progmat ST」の他、ユーティリティトークン(UT)用のインフラ「Progmat UT」とステーブルコイン(SC)用のインフラ「Progmat Coin」にて構成されている。

「Progmat ST」においてはエンタープライズ向けブロックチェーン「Corda(コルダ)」が、「Progmat UT」では同じくエンタープライズ向けブロックチェーン「Quorum(クオーラム)」が採用されている。また「Progmat Coin」ではEthereum(イーサリアム)やPolygon(ポリゴン)等、複数のパブリックブロックチェーンを利用するマルチチェーン対応のプラットフォームとなっている。

セキュリティトークンとは

セキュリティトークンとは、ブロックチェーン等の電子的技術を使用してデジタル化し発行される法令上の有価証券のことを指す(Securities=有価証券)。株や債券などといった有価証券と同等の法規制が適用されるもの。ただし金商法に該当しないセキュリティトークンとして、「不動産特定共同事業法に基づく出資持分をトークン化したもの」の他に会員権などの「アセットの権利をトークン化したもの」も定義されている。

2020年5月施行の改正金融商品取引法によりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され、金融機関での取り扱いが可能になった。しかし一方で金商法とは別に不動産特定共同事業法(不特法)に基づいたデジタル証券も発行されているのが現状だ。

参考:プログマ
画像:iStocks/NanoStockk

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
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