KuCoinが米司法省へ約3億ドル支払い訴訟和解
海外暗号資産(仮想通貨)取引所クーコイン(KuCoin)が無許可の資金送金業務を運営していた罪を認め、2億9,700万ドル(約462億円)を超える罰金および没収に同意したと、米国司法省が1月29日に発表した。
クーコインを運営するペーケングローバル(Peken Global)は、マンハッタンの米国地方裁判官アンドリュー・カーター(Andrew Carter)氏の前で罪を認めた。
この罪状認定には、1億1,290万ドル(約175億円)の刑事罰金および1億8,450万ドル(約287億円)の没収が含まれており、クーコインが少なくとも2年間、米国市場から撤退することが求められている。
クーコインの創業者であるチュン・ガン(Chun Gan、通称マイケル)氏およびケ・タン(Ke Tang、通称エリック)氏の2名は、それぞれ2年間の起訴猶予に応じ、270万ドル(約4億円)の没収とクーコインの経営および運営への関与を放棄することに同意したと、司法省は述べた。
検察によると、セーシェルを拠点とするクーコインは数十億ドルに及ぶ疑わしい取引の媒介に利用され、ダークネット市場、マルウェア、ランサムウェア、詐欺などから得られた犯罪収益の送金にも関与していたという。
これは、クーコインが効果的なマネーロンダリング防止(AML)および顧客確認(KYC)プログラムを実施しなかったことが原因であるとされている。
さらにクーコインは、疑わしい取引の報告や、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)への登録も怠っていたと検察は指摘している。
2017年に設立されたクーコインは、2024年3月時点で少なくとも207か国および地域に3,000万人以上の登録ユーザーを抱えていたと、裁判資料は示している。
「この解決策は、クーコインにとって新たな章を意味しており、コンプライアンス、セキュリティ、イノベーションへの取り組みを再確認するものである」と、先週にクーコインの法務責任者からCEOに就任したBC・ウォン(BC Wong)氏は声明で述べた。
「私たちはグローバルなコンプライアンス体制を強化し、必要なライセンスを取得し、市場に再参入する機会を模索している」とウォン氏は付け加えた。
ガン氏の弁護士であるアレクサンダー・ウィルソン(Alexander Wilson)氏は声明で、「この解決策は、依頼人(ガン氏)が米国法違反をはじめ、マネーロンダリング、詐欺、類似の犯罪行為に関与する意図がなかったことを反映している」と述べた。
なおタン氏の弁護人であるデイビッド・マイスター(David Meister)氏はコメントを控えた。
2023年12月、クーコインはニューヨーク州ユーザーのアクセスをブロックし、州の訴訟を和解するために2,200万ドル(約34億円)を支払うことに同意した。この訴訟では、同社が登録義務を怠ったと非難されていた。
クーコインは、流動性、取引量などの要因に基づいて、暗号資産現物取引所として世界第8位の規模を誇る。コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)のデータによると、バイナンス(Binance)やコインベース(Coinbase)などがそれより上位に位置している。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
KuCoin pleads guilty, agrees to pay nearly $300 million in US crypto case
(Reporting by Jonathan Stempel in New York; Editing by Bill Berkrot)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters