OpenAIがイタリアで約24億円の罰金受ける
イタリアのデータ保護機関(Italian Data Protection Authority)が、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)に対し、1,500万ユーロ(約24億円)の罰金と、6か月間にわたる啓蒙活動の実施を12月20日命じた。
この決定は2023年12月20日に下されたもので、同機関が指摘するデータ保護規則違反に基づくものだ。調査によれば、オープンエーアイは以下の点で違反を行ったとされる。
・2023年3月に発生したデータ侵害について、イタリア当局に報告していなかった。
・「ChatGPT」のトレーニングにユーザーの個人データを利用したが、適切な法的根拠を特定していなかった。
・ユーザーに対する情報提供義務を怠り、データ処理の透明性原則に違反していた。
・13歳未満の子供が自己認識や発達段階に適さない回答に触れるリスクがあるにもかかわらず、年齢確認の仕組みを提供していなかった。
今回、イタリア当局はオープンエーアイに対し、啓蒙活動をラジオやテレビ、新聞、インターネットを通じて実施するよう命じている。この活動では、「ChatGPT」がデータをどのように収集し、AIトレーニングに活用しているのかを分かりやすく説明することが求められているという。また、ユーザーや非ユーザーに対し、データ使用に異議を申し立てる権利や、データの修正・削除を求める方法を具体的に伝えることを目的としているとのこと。
なお、調査の過程でオープンエーアイは欧州本社をアイルランドに移転しており、これを受けてイタリア当局は同案件をアイルランドのデータ保護委員会(DPC)に引き継ぐと発表した。今後は、EU(欧州連合)一般データ保護規則(GDPR)に基づき、さらなる調査が行われる予定だ。
ちなみに、オープンエーアイは電気自動車会社テスラのCEOイーロン・マスク(Elon Musk)氏から、反トラスト法違反を含む複数の訴訟を起こされている。「今年11月14日に提出された裁判書類で確認できる。
マスク氏は、オープンエーアイが2018年にICO(イニシャル・コイン・オファリング)を通じた資金調達を計画していた際、そのアイデアを却下したと主張。また、オープンエーアイとマイクロソフトが協力し、AI市場で競合企業を排除し、独占を図ったとして非難している。
参考:イタリアのデータ保護機関
画像:iStock/titoOnz