暗号資産緊急提言が正式承認
自民党の政調審議会にて、「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」が正式承認された。自民党・デジタル社会推進本部web3主査の塩崎彰久議員が12月19日にXにて報告した。
塩崎議員の報告によれば、この提言では「暗号資産取引を申告分離課税の対象へ」、「規制の枠組みの見直し」、「サイバーセキュリティへの支援強化」に向けた具体的取り組みが提案されたという。
「暗号資産取引を申告分離課税の対象へ」の項目では、暗号資産(仮想通貨)の課税方法を、雑所得(最大55%)から申告分離課税(20%)の対象とすること、暗号資産にかかる所得金額からの損失の繰越控除を認める(翌年以降3年間)こと、暗号資産デリバティブ取引についても同様に申告分離課税の対象にすることについて、検討を行うべきと提案された。
「規制の枠組みの見直し」に関する項目では、暗号資産が投資対象となっており、ビットコイン(BTC)現物ETFが承認された米国では機関投資家等によるビットコインの保有が着実に増加するなど、主要な暗号資産が投資対象となるアセットクラスの一つとして位置付けられていると報告された。
また暗号資産は、単なる投資対象ではなく、本質的にはブロックチェーンを機能させるための要素であるとし、DAOのガバナンス、オンラインゲームでの決済手段などでの利用が拡大しており、非金融事業者(通信キャリア、ゲーム会社、アート・アニメ等の取扱事業者など)が同分野での事業を拡大しているとした。
また米国の暗号資産関連の規制緩和の動きが加速する可能性が高いことにも留意が必要とし、日本において暗号資産取引の振興や分離課税への検討や暗号資産の一部を金融商品として法的に位置付け、金融商品取引法の規制対象とすること等を提案した。
またweb3ビジネスが金融事業だけでなく多様な非金融事業を含むことから、イノベーションを阻害しないように多様な意見を尊重しながら最適な規制法の枠組みはどうあるべきかについて検討を進めるべきとした。
さらに、暗号資産をETFの対象とすることについても検討を行っていくべきだと続けている。
「サイバーセキュリティへの支援強化」の項目では、暗号資産交換業者は利用者資産の保護の観点から、強固なサイバーセキュリティの確保が必要不可欠とした。
また各事業者においては、関連法令を順守するとともに、独自のセキュリティ対策を講じている現状がある一方で、暗号資産は国境を越えて流通する特性を有しており、事業者単独でのセキュリティ確保および強化には限界があるため、事業者間および国際的な連携を図る枠組み(ISAC:Information Sharing and Analysis Center)を構築し、ISACに参加する各事業者間および関係当局との間で、セキュリティに関する情報の共有や連携を進めることが喫緊の課題と位置付けた。
また現在、民間の試みとして「JPCrypto-ISAC」設立の動きがあるが、設立された ISAC における情報共有、そして米国をはじめとする諸外国の「Crypto-ISAC」や関連調整機関との連携強化を通じ、各事業者におけるセキュリティレベルの一層の向上を図り、政府がこれら取り組みを強力に後押ししていくべきと提案している。
19日の自民党の政調審議会において、「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」が正式に承認されました。①暗号資産取引を申告分離課税の対象へ、②規制の枠組みの見直し、③サイバーセキュリティへの支援強化に向けて、具体的な取り組みを加速させて参ります。提言本文はWGのnoteにもア… pic.twitter.com/NFvRfU0bCF
— 塩崎あきひさ 【衆議院議員・愛媛1区】 (@AkihisaShiozaki) December 19, 2024
参考:暗号資産緊急提言
画像:PIXTA