SBI FXトレードと楽天ウォレットが証拠金取引を2020年度中に開始へ
SBIホールディングス株式会社の子会社であるSBI FXトレード株式会社と楽天株式会社の子会社である楽天ウォレット株式会社の2社が、両社運営の仮想通貨取引所において証拠金取引サービスを開始することが3月10日日経新聞の報道によって明らかになった。
両社は証拠金取引サービスを開始すべく、金融商品取引業者として当局から認可を得る手続きに入ったとのことだ。
証拠金取引については、今春施行の改正金融商品取引法の規制対象となっている。
報道によると両社は、証拠金取引が規制対象になることにより取引の安全性が高まるとの期待から、市場では活発な売買が見込めると判断し、サービス開始を進めたようだ。
編集部のコメント
証拠金取引(レバレッジ取引)とは、証拠金を取引所の口座に入れることによって、その数倍の取引を可能にする仕組みのことです。証拠金がレバレッジ取引の担保となります。ビットフライヤー、GMOコインでは現在レバレッジを最大で4倍までかけることができます。これは最大で現物取引の4倍の利益が出せる可能性があるということです。しかし、反対に4倍の損失が出ることもあるのでリターンが大きい反面、もちろんリスクも大きくなります。仮想通貨は他の金融商品と比較して価格変動幅が大きいこともあり、損失のリスクも高くなります。
仮想通貨取引のレバレッジ上限については、これまで「JVCEA(一般社団法人日本仮想通貨交換業協会)」が、仮想通貨のレバレッジ上限を15倍から4倍に引き下げる自主規制ルールを定め、国内取引所はそのルールの採用を進めてきましたが、今春施行の改正金商法では施行から猶予期間を経て2倍が上限となる予定となっています。レバレッジ上限の規制は、消費者保護の観点から過度な投機や価格の乱高下による投資家の損失リスクを抑えるのが狙いと読み取れます。
なお日本の外国為替FX市場での最大レバレッジは個人口座で25倍までとなっています。
4倍という上限についても当時から様々な意見が出ていましたが、2倍の方針という報道は業界内外に大きな波紋を呼びました。 仮想通貨業界の有識者や投資家などからは、レバレッジ率が下がれば投資家がレバレッジ率の高い海外サービスに逃げることに対する懸念や、日本国内の仮想通貨取引所の運営自体が難しくなるのではないかという意見も飛び交っています。またFXの個人取引の現状25倍という上限に比べても、2倍というのはあまりにも厳しいのではないかという意見も出ています。
そんな意見もあるなかで今回の報道ではSBIと楽天は、証拠金取引が規制により安全性が高まり、活発な売買が見込めるという判断をしたということになっています。
コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)
(images:dalebor,Panuwat-Sikham)