北朝鮮の暗号資産マネロンネットワークを制裁対象に
米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、北朝鮮に送金されたデジタル資産のマネーロンダリングに関わったとして、ルー・フアイン(Lu Huaying)氏とチャン・ジエン(Zhang Jian)氏、およびUAE拠点のグリーン・アルパイン・トレーディング社(Green Alpine Trading)に制裁を科したと12月17日に発表した。
発表によれば、フアイン氏とジエン氏はグリーン・アルパイン・トレーディング社を通じてマネーロンダリングや暗号資産の現金化を行い、不正収益を北朝鮮の平壌に送金していたという。
このマネーロンダリングは、北朝鮮の違法な大量破壊兵器(WMD)および弾道ミサイル計画に資金を流すものだとOFACは伝えている。
なお2人は北朝鮮の「工作員」とされるシム・ヒョン・ソプ(Sim Hyon Sop)氏と共謀していたとのこと。シム・ヒョン・ソプ氏は朝鮮廣済銀行(KKBC)の代表者で、OFAC制裁対象となっている人物だ。シム・ヒョン・ソプ氏の財産及び財産権は大統領令に従って、凍結されている。
KKBCは北朝鮮の国営組織であり、国連安全保障理事会決議1718(DPRK)制裁リストに指定された団体とのことだ。
UAE在住の中国国籍を持つルー・フアイン氏は、少なくとも2022年初頭より、シム・ヒョン・ソプ氏に代わり、偽装された北朝鮮の収益生成プロジェクトから派生した暗号資産を現金化したという。
2022年初頭から2023年9月頃にかけて、ルー・フアイン氏はシム・ヒョン・ソプ氏の数百万ドルの資金を資金洗浄したとのことだ。
その後、資金洗浄された資金は、北朝鮮またはその代理人が使用する目的で評価された製品やサービスの購入代金として使用されたとOFACは伝えている。
またチャン・ジエン氏も、2022年後半から2023年前半にかけてシム・ヒョン・ソプ氏による暗号資産と法定通貨の交換を幇助し、運び屋として行動したとされている。
また、グリーン・アルパイン・トレーディング社は、UAEを拠点とするダミー会社であり、このマネーロンダリング・ネットワークの主要な構成要素として機能していたという。
OFACは、グリーン・アルパイン・トレーディング社がシム・ヒョン・ソプ氏に対して、金融、物資、技術、その他の支援、または支援のための商品やサービスを提供または提供しようとしたとして、同社を制裁対象に指定した。
参考:発表
画像:iStock/gorodenkoff