EY、Microsoft、ConsenSysらが共同プロジェクト「Baseline Protocol」を発表
EY、ConsenSys、Microsoftは、暗号化技術、メッセージング技術とイーサリアムのパブリックブロックチェーンを組み合わせたオープンソースプロジェクト「Baseline Protocol」を発表した。
Baseline Protocolは、主に4つのアーキテクチャーサービスで構成されている。その4つは、Baseline API、Queuing system、Secure message service、Zero-Knowledge-Proof Serviceだ。
そして、「Baseline Protocol」の開発における主要なフレームワーク「Unibright」は、イーサリアムのメインネットを介して、クラウドやウェブサーバーなどと接続可能にするもの。Unibrightフレームワークには、スマートコントラクトモデリング、データ生成、相互接続、監査などの機能が存在している。
また「Baseline Protocol」は、ゼロ知識証明、オフチェーンストレージ、分散IDなどの複数のテクノロジーを統合しているため、企業は、一般的に標準化されたものを使用して、完全にプライバシーを保ち、ブロックチェーン自体にビジネス上の機密情報を保存することなく、プロセスと契約を設定、同期することができる。ちなみに、このネットワークの管理は、Ethereum FoundationとEnterprise Ethereum Allianceが資金を提供しているEthereum-Oasis Projectによって為される。
「Baseline Protocol」の最大の目的は、エンタープライズブロックチェーンソリューションの機会を創出し、パブリックイーサリアムチェーンを介して、安全でプライベートなビジネスプロセスを可能にすることだ。
ConsenSysのグループエグゼクティブのJohn Wolpert(ジョン・ウォルパート)氏は「多くの人々は、ブロックチェーンをトランザクションを記録するものだと、考えています。しかし、ブロックチェーンのメインネットをミドルウェアと考えたらどうでしょうか?Baseline Protocolは、メインネットの得意なところを活用し、得意でないものを避けます」とコメントしている。
Unibright CTOのStefan Schmidt(ステファン・シュミット)氏は、「Baseline Protocolに対する当社の取り組みは、オープンソースの利用可能な標準化に貢献し、その周辺に商用ソフトウェア製品を構築するという、当社のアプローチと完全に一致しています。 SAPおよびMicrosoftとのパートナーシップは、SAP Hanaでのビジネスプロセスの実装、およびAzureでのクラウドベースのホスティングと統合の両方の取り組みをサポートします」とコメントしている。
EYのグローバルブロックチェーンリーダーのPaul Brody(ポール・ブロディ)氏は「過去2年にわたって、EYはパブリックブロックチェーンでのプライベートで安全なトランザクションの最先端を進めてきました。このイニシアチブは、その基盤の上に構築され、エンタープライズディレクトリやプライベートビジネスロジックなどのギャップを埋め始めます。強力なプライバシーでエンドツーエンドのプロセスを実行します」とコメントしている。
編集部のコメント
Baseline ProrotocolはEY、Consensys、Microsoft3社を中心に、その他12社が関わるイニシアチブとなっています。EYのリリースによると、最初にBaseline Protocolは、サプライチェーントレーサビリティの商取引および金融サービスにリンクするブロックチェーンアプリケーションの基礎を築いていくとのことです。
EYなど監査企業は、相互運用性が低いEnterprise Resources Planning(ERP)を利用しています。ERPは、他の業界などとのデータ連携には適していないと考え、EYはパブリックブロックチェーンNightFallを中心にその他周辺の秘匿技術などを開発してきました。そのEYが、MicrosoftやConsenSysと手を組み、理想のブロックチェーンを開発できる意義は非常に大きいのではないか、とあたらしい経済編集部は考えます。
企業同士でのデータの共有がよりスムーズになり、生産性を向上させることが、まず第一のエンタープライズブロックチェーンの大きなユースケースになっていくのではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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