SECの法的権限の拡大を非難
米テキサス州北部地区連邦地方裁判所が、米証券取引委員会(SEC)の「ディーラー」に関する法的権限の拡大を非難し、関連規則を破棄するよう11月21日命じた。
同訴訟は、業界ロビー団体の「テキサス州暗号化自由連合(Crypto Freedom Alliance of Texas)」らが起こしたもの。SECが今年2月に採用した、より広範な市場参加者に対し、SECへの登録や自主規制機関(SRO)のメンバーへの加入、規制準拠を求める規則に異議を唱えるものだ。
テキサス州北部地区連邦地方裁判所フォートワース支部のリード・オコーナー(Reed O’Connor)判事は裁判資料にて、「裁判所は、証券取引法の条文、歴史、構造から切り離されたディーラーの定義を広範に制定したことにより、SECがその法定権限を逸脱したと結論づける」とし、対象となる規則のいかなる部分も有効とはならないと裁定した。
同規則では、証券法規則における「ディーラー」と「政府証券ディーラー」の定義が再定義された他、1934年証券取引法で使用される「通常業務の一部として」のフレーズも再定義された。
規則には「いわゆるDeFi市場に関わる商品、構造、活動を含む暗号資産証券の取引活動が、最終規則に定める[通常業務の一環として]の定義を満たし(すなわち、定性基準に記載されているように、他の市場参加者に流動性を提供する暗号資産証券の定期的な売買パターンに従事し)、例外または除外が適用されない場合、その人はディーラーまたは政府証券ディーラーとして登録する必要がある」と記された。
また新たに定義されるディーラーの枠組みは、「取引される証券の種類ではなく、個人によって行われる証券取引活動に基づく機能分析」だとされた。
これは、証券または政府証券の定義を満たす暗号資産の取引を行う人々に適用される可能性があると読み取れるため、その定義の曖昧さに業界からは反発の声が上がっていた。
今回の命令が下る前日の11月20日、SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は来年1月20日をもって退任することを報告。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領が指名するゲンスラー委員長の後継者は暗号資産の取り締まりを直ちに終了させ、ゲンスラー氏の在任中に導入された規則の多くを見直し、訴訟を通して進行中の強制執行を撤回し、資本形成の促進に焦点を当てた規則の変更を追求すると予想されている。
参考:裁判資料
画像:Reuters