Hyperledger Besuがスマートコントラクト言語DAMLをインテグレート
Digital Asset社が開発しているスマートコントラクト言語「DAML」がHyperledger Besuでインテグレートされたことが、Ledger Insightsによって明らかになった。
Blockchain Technology Partners(BTP)がSextant for DAMLの一部としてHyperledger BesuとDAMLのインテグレートを実装した。
Hyperledgerの前CMOで、現Digital Asset社のCMOのDan O’Prey(ダン・オプレイ)氏は「Hyperledgerが常に課題と感じていたのは、Hyperledgerアプリの作成をどのように始めるかです。 もちろん、いまもHyperledgerアプリは存在していないです。なのでDAMLを使用することで、単一のDAMLアプリを記述して、Fabric、Sawtooth、Besu、およびその他の多数のDLTにデプロイすることができます。 ようやくブロックチェーンスタックの標準的な統合コンポーネント化に向けて動き始められます」とコメントしている。
HyperlederのエグゼクティブディレクターのBrian Behlendorf(ブライアン・ベフレンドルフ)氏は「Hyperledger Besuは、Hyperledgerで提供される最新のフレームワークであり、パブリックEthereumネットワークと互換性のある最初のフレームワークです。ブロックチェーン技術スタック全体の専門化と統合の両方を予想しているため、Sawtooth、Fabric、そしてBesu全体でアプリケーションを作成するためのDAMLには統一オプションが存在しています。これでスタックとして不足するエンタープライズブロックチェーンはQuorumのみになります」とコメント。
これに対し、O’Prey(オプレイ)氏は「 Quorumとの統合も可能です。そしてHyperledger Besuは、純粋にJavaであり、GPL V3ではなくApache 2ライセンスであり、Linux Foundationのガバナンス構造も備えているという点で、いくつかの利点があると考えています」とコメントした。
編集部のコメント
Digital Assetのビジネスモデルは、様々なテクノロジープロバイダーと提携して、DAML言語のプロダクトを提供することです。提携先として、Hyperledger Sawtooth、Hyperledger Fabric、Corda、AmazonのQLDB、クラウドAuroraデータベース、VMware Blockchain、Google Cloudとなっています。
2020年2月26日に、Digital Asset社は、Amazon QLDBとのインテグレートを発表したばかり。そして今回は、Hyperledger Besuとのインテグレート完了ということになります。凄まじいスピードで実装が行われていて、コンソーシアム型のブロックチェーンの覇権争いが熾烈です。
コンソーシアム型のブロックチェーンは、Hyperledger、Quorum、Cordaが主流となっていて、スマートコントラクト言語DAMLがこれら3つのブロックチェーンプラットフォームとインテグレートされる未来もそう遠くないのかも知れない、とあたらしい経済編集部は考えています。ただ、日本においてDAMLでスマートコントラクトを書いている事例は少なく、研究の余地もあるでしょう。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:Aleksei_Derin,-dalebor)