FacebookはLibra開発を一旦中止し、新たな通貨を開発か

FacebookはLibra開発を一旦中止し、新たな通貨を開発か

Facebookは、Libra計画を一旦中止して、ユーザーの現地通貨にペッグした形のステーブルコインの発行計画を進めていると、米メディアThe Informationが報じた。

新しく開発されるステーブルコインは、当初提案されたLibraトークンとは異なり、一連のデジタル通貨はユーザーの現地通貨に制限される可能性があるため、たとえば、アメリカのユーザーは通常の米ドルと引き換えに、デジタル通貨を受け取ることとなる。ただ、国ごとに異なるコインを取引すると、ユーザーはコンバージョン率を理解しなければならない可能性があるとのこと。

証券取引委員会の元コミッショナーであり、スタンフォードの法学教授Joe Grundfestジョー・グルンドフェスト)氏は「Facebookが法定通貨にペッグしたステーブルコイン以外の何かを考え出させてしまったことは、その価値が明らかになった上で、既存の金融機関や国家との軋轢を生み出した」と、The Imformationにコメントしている。

ブロックチェーン領域に投資をしているVCCastle Island VenturesのパートナーであるNic Carter(ニック・カーター)氏は「私は、Libra計画を一旦中止して、新たなドルペッグのステーブルコインを開発することは、和解的なアプローチで良いと思います。Libraを開発しているメンバーはワシントンで政府などと多くの摩擦を起こしていました。それは、彼らが米ドルだけでなく、何種類かの外貨によって準備金を扱おうとしていた事実があるからだと考えられます」とコメントしている。

Facebookは、Calibraと呼ばれる子会社を通じて、ユーザーが通常支払うクレジットカードや外国為替手数料なしで、通貨の購入と送金ができるデジタルウォレットを構築している。そしてFacebookは、最終的に消費者がアプリを通じてお金を貸したり借りたりできるようにすることを望んでいるとのことだ。

編集部のコメント

Libraの準備金に関する議論は、Libraトークンが通貨以外の何か、例えば証券などに値して規制されるべきかどうかで進んでいました。実際、2019年に非公開の場でマークザッカーバーグを含んだFacebookの重役たちは、この議論に対して受け答えすることが難しかったようだと、The Imformationは伝えています。

そもそも、ステーブルコインが法律上の何に値するのかは、日本やアメリカを含めて、グローバルで不明確なままです。Calibraが開発する通貨がユーザーが扱う国とペッグすることで、規制の枠組みに取り入れやすくはなったのは事実ですが、まだ慎重な議論が必要な状況ではないかと、あたらしい経済編集部は考えています。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

 

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【11/18話題】JPYCの累計発行額30億円に、イーロンマスクがDOGEを不正操作したとする訴訟が終了など(音声ニュース)

日本円ステーブルコインJPYC、累計発行額が30億円を突破、イーロンマスクがドージコイン(DOGE)を不正操作したとする訴訟が終了、イーロンマスクが2018年にOpenAIのICO提案を却下、裁判資料にて明らかに、米18州らがSECとゲンスラー委員長、複数名のSEC委員を提訴。暗号資産規制の越権行為で、暗号資産の時価総額、過去最高の3.2兆ドル=コインゲッコー、PhantomのiOS版がアップデートで強制ログアウト、リカバリフレーズのバックアップ促す、ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」、アプトス・アービトラム・アバランチ・OPメインネット・ポリゴンに展開開始、米資産運用会社VanEck、EUで「スイ(SUI)」のETN提供開始、ワールド(WLD)、ブラジルで「Orb」利用可能に、【取材】イーサリアムネームサービス(ENS)、L2ソリューション「Namechain」発表

Sponsored

ペイパル「PYUSD」がイーサリアムとソラナ間で転送可能に、レイヤーゼロのOFT標準採用で

米決済大手ペイパル(PayPal)が、オムニチェーンプロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」と統合し、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)間で、独自ステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の転送を可能にした。「レイヤーゼロ」の公式ブログより11月12日発表された

ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」、アプトス・アービトラム・アバランチ・OPメインネット・ポリゴンに展開開始

米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)提供のトークン化ファンド「ブラックロック・米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund:BUIDL)」が、新たに5つのブロックチェーン上に展開開始したことが11月13日発表された