金沢工大と関西電力がブロックチェーン技術を活用した電力P2P取引の実証研究を開始

金沢工大と関西電力がブロックチェーン技術を活用した電力P2P取引の実証研究を開始

学校法人金沢工業大学と関西電力株式会社が、ブロックチェーン技術を活用し、電力の消費者と供給者が電力直接取引(電力P2P取引)を行う実証研究を2月21日より開始したことを同日プレスリリースにて発表

同実証研究は、同大学の白山麓(はくさんろく)キャンパス内に設置されている、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーによる発電設備や蓄電池等で構成されるマイクログリッドを実証フィールドとして利用され、同マイクログリッドからの電力供給を「電力の売り手」、教職員の寄宿舎の電力消費を「電力の買い手」として、両者の発電量や電力消費量に基づき、電力の直接取引が行われる。

電力の取引情報の管理については、関西電力が巽実験センター(大阪市生野区)にて実証研究している、ブロックチェーン技術を利用したプラットフォームが活用される。

同実証研究では、これにより発電方式の異なる複数電源からの供給量と、実際に使用している住居の電力使用量を用いることで、より実践的な実証研究を行うことができるとのこと。

また異なる複数の実証場所を対象に、同一のプラットフォームを活用することで、多様な取引環境に共通して適用できるプラットフォームの構築を図ることができるとのこと。

金沢工大において同実証研究は、ブロックチェーン技術を活用した電力直接取引にかかる初めての取り組みとなる。また同様の実証研究を実環境で実施するのは、関西電力としては初の試みとなる。

なお同実証研究は、2月21日~3月31日の期間にて行われるとのこと。

編集部のコメント

マイクログリッドとは、あるエリア内において電力会社の送配電網に頼らず、なるべく独自の発電設備からの電力供給と需要調整で運用される電力ネットワークのことです。 関西電力はブロックチェーンの実証実験を積極的に行っています。 2019年12月に同社は日本ユニシス株式会社と、太陽光発電によって生じた環境価値の売買価格の決定や「RE100」企業向けの取引ができるブロックチェーンを活用した新システムの実証研究を開始し、さらに同日オーストラリアのパワーレッジャーと共同で、同じく太陽光発電によって生じた環境価値の売電価格の決定や取引を行う実証研究も開始しています。

現在、電力・ガス各社はP2P電力取引プラットフォームの開発研究に力を入れています。その理由は、2016年以降の電力の小売り自由化により、電力の購買先を選択する消費者の認識が徐々に増えてきたことや、住宅用太陽光発電等の再生可能エネルギーの分散型電源を保有する生産消費者が増えてきたことから、発電した電力を売買する電力取引の仕組みに注目が集まっていることなど、エネルギー産業の環境の変化によるところがあります。

コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)

(images:liuzishan)

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