JP Morganが「ブロックチェーンのマスアダプションは3~5年後」とレポーティング
JP Morgan Chaseが「Blockchain, digital currency and cryptocurrency:Moving into the mainstream?」という74ページに及ぶレポートを2月21日に発表した。
レポートによると、ブロックチェーンは、まだマスアダプションはしていないが、実証実験のフェーズは超えているとのこと。そして、ブロックチェーンは、特にトレードファイナンスやペイメント領域で、銀行業界に大きな効率性をもたらすとのことだが、実際に広範囲にわたって実装されるのは、3~5年後ではないかと、予測している。
ただ、マクロ経済環境、法律や規制の枠組み、クロスプラットフォーム統合などの技術的課題などの課題が、ブロックチェーンの技術進展を減速させる可能性があるとも予測している。
ステーブルコインのLibraへも深く分析をしていて、Libraは大幅に成長する可能性があり、最終的に世界の金融取引活動のかなりの部分を担う可能性があるが、現在設計および提案されているように、こうしたペイメントシステムの運用の微細構造は考慮されていない。そして、短期的な流動性の与信プロセスの確保、特に現在の金融市場から与信プロセスなど含めた流動性ファシリティを担保するプロセスが異なっている場合、Libraの成長の方が、既存の金融システムより成長が早くなり、リスクが生じやすくなるとも分析している。
編集部のコメント
JPMorgan Chaseは銀行の中でも先進的にブロックチェーンを実装している投資銀行です。2015年から現在までのプロセスを共有します。 JPMorgan Chase(JPMC)は2015年に、JPMC Blockchainというグローバルなブロックチェーン領域専任チームがあります。 JPMC Blockchain Center of Excellence(BCOE)は、企業全体の潜在的なアプリケーションを調査し、顧客向けの革新的なソリューションの開発に重点を置いています。
BCOE website: https://www.jpmorgan.com/global/technology/blockchain.
2016年、JPMCは、Quorumのリリースによって、ブロックチェーンプロトコルをオープンソース化した最初の銀行となりました。Quorumは機関レベルのパフォーマンス、プライバシー、およびセキュリティ要件に焦点を当てて開発しました。JPMCは引き続きQuorumに多額の投資を行っており、Quorumのロードマップの開発に専念する専任チームが大規模な開発を行なっていきます。
Quorumウェブサイト:https://www.goquorum.com/
2017年には、JP. Morganのホールセールペイメントビジネスが、初めて試験運用され、JPMCの最初のプロダクショングレードのスケーラブルかつピアツーピアのブロックチェーンベースのネットワークであるInterbank InformationNetwork®(IIN)を立ち上げました。 IINは、銀行間情報共有の長年の課題に対処し、国境を越えた支払いプロセスの摩擦を減らし、支払いをより迅速かつ少ないステップで受益者に届けることができます。
IIN Webサイト:https://www.jpmorgan.com/global/treasuryservices/IIN
2018年にJPMSCの債券マーケット部門では、Dromaiusプロジェクトで、トークン化された1億5000万ドルの変動金利1年満期のシミュレートを行いました。
Dromaiusプロジェクト:https://www.jpmorgan.com/country/US/en/detail/1320566740924
2019年にJPMCは独自通貨の「JPM Coin」のテスト運用を成功させました。JPM Coinは米ドルにペッグしたステーブルコインです。 JPMCのQuorumがConsensysへ売却されるという報道もされていますが、JPMCはブロックチェーン技術へビジネスの舵を大きく切っているように思えるので、今後とも注視していきたいと、あたらしい経済は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:Who_I_am)