ヴィタリックがイーサリアムのスケーリング戦略「ザ・サージ」発表、L1とL2の協力で100,000TPS目指す

Vitalikがスケーリング戦略発表

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムのスケーリング戦略「ザ・サージ(The Surge)」の計画について自身のブログにて10月17日発表した。

同ブログによると「ザ・サージ」では、レイヤー1とレイヤー2の役割分担が提案されている。レイヤー1は堅牢で分散化された基盤を提供し、レイヤー2がエコシステムのスケーリングを担うという。

なお現在各レイヤー2では、独自のルールとロジックを持つ「シャード」として機能する多様なシャーディング実装が進んでいる。その一方でイーサリアム全体としては、レイヤー1の堅牢性と分散性を維持しながら、ロールアップ中心のロードマップを完成させるという課題があるという。

今回の提案では、この課題を解決する為にレイヤー1とレイヤー2で10万TPS(1秒あたりのトランザクション量)を目指し、分散性や堅牢性を維持しつつ、レイヤー2間の相互運用性を高めることが説明されている。なお中期目標として、スロットあたりのデータ容量を16MBに設定し、ロールアップデータの圧縮を改善することで、約5万8千TPSを達成する計画とのこと。

また「データ可用性サンプリング」や「データ圧縮」、「拡張版プラズマ」も「ザ・サージ」において重要な役割を果たすとしている。

「データ可用性サンプリング」は、レイヤー2間の通信やデータの利用可能性を保証し、SNARK(ゼロ知識証明)と組み合わせることで、ブロックチェーンのトリレンマ(スケーラビリティ、分散性、セキュリティ)の課題を解決するという。

また「データ圧縮」では、トランザクションデータの効率を高めて、レイヤー2のスケーラビリティを向上させるとのこと。

そして「拡張版プラズマ」では、データをオフチェーンに保存し、ユーザーが自身の資産を安全に管理できる仕組みを強化するとしている。

このようにしてヴィタリックは、イーサリアムを1つの統合されたエコシステムのように機能することを目標しているとのこと。

ただし「ザ・サージ」の実装日については未定だ。

ヴィタリックは今月14日、イーサリアムのPoS(Proof of Stake)システムの改良を行う提案をした。主な変更点は、バリデーターとして参加する為に必要なETHの最低数量を32ETHから1ETHに引き下げるというもの。これによりネットワークの分散化を促進するという。また、トランザクションの確定時間を12秒に短縮する「シングルスロット・ファイナリティ(SSF)」も導入予定だ。

参考:ヴィタリックブログ
画像:iStock/dalebor

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

合わせて読みたい記事

【12/18話題】メルカリがイーサリアム保有者に毎月ポイント付与、メタプラネットがビットコイン購入資金調達など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米財務省、北朝鮮の暗号資産マネーロンダリングネットワークに制裁

米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、北朝鮮に送金されたデジタル資産のマネーロンダリングに関わったとして、ルー・フアイン(Lu Huaying)氏とチャン・ジエン(Zhang Jian)氏、およびUAE拠点のグリーン・アルパイン・トレーディング社(Green Alpine Trading)に制裁を科したと12月17日に発表した

バイナンスのHODLer Airdropsで「1000CAT」と「PENGU」取り扱い開始、シードタグ銘柄として上場も

大手海外暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、エアドロップサービス「ホドラー・エアドロップ(HODLer Airdrops)」において、暗号資産(仮想通貨)「シモンズ・キャット:Simon's Cat(1000CAT)」および「プディー・ペンギンズ:Pudgy Penguins(PENGU)」を取り扱うことを12月16日に発表した