ロビンフッドがデスクトップ版プラットフォームをローンチ
株式や暗号資産(仮想通貨)の取引アプリを提供する米ロビンフッド(Robinhood)が、待望のデスクトップ版プラットフォームを立ち上げ、モバイルアプリに先物と指数オプションの取引機能を追加したことを10月16日発表した。同社は、伝統的な仲介業者から市場シェアを奪うことを目指している。
11年前に登場した手数料無料のロビンフッドアプリは、2021年に個人投資家の代名詞となった。ロビンフッドは現在、本格的な金融サービスプロバイダーへと成長し、機関投資家にサービスを提供する既存の証券会社と競争することを目指している。
米カリフォルニア州メンロパークに本拠を置く同社は、「ロビンフッド・レジェンド(Robinhood Legend)」と名付けたデスクトップ取引プラットフォームがアクティブトレーダーに焦点を当てると述べた。
「私たちは顧客とともに成長し、より高度な商品やアクティブな取引ツールへのアクセスを求める声をしっかりと聞いてきた」と、チーフブロカレッジオフィサーのスティーブ・クイーク(Steve Quirk)氏はロイターに語り、「私たちの長期的な目標は、ロビンフッドが顧客のすべてのニーズを満たす主要な金融サービス会社になることだ」と付け加えた。
このデスクトップ版プラットフォームは追加料金なしで提供され、高度な取引ツール、リアルタイムデータ、カスタムおよびプリセットレイアウトが利用できる。
一方アプリ版では、ベンチマークのS&P 500インデックスや原油、ビットコインなどの先物取引が可能になった。また顧客はインデックスオプションも取引できるとのことだ。
市場シェアをめぐる戦い
バンガード(Vanguard)、チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)、フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)などの有名企業が独占してきた米国の証券業界は、ロビンフッドが2013年に手数料無料取引を初めて開始したことにより、数十年ぶりの混乱に見舞われた。
そこから10年経った今、ロビンフッドはより経験豊富な投資家に対応するために拡大している。先物やオプションの取引は、より高い証拠金要件、ボラティリティの増加、複雑性、手数料などの理由により、通常は大手銀行、ヘッジファンド、資産運用会社が主に行う分野だった。
ロビンフッドのプレミアムゴールド会員は、1契約あたり50セントの低価格から先物を取引できるのに対し、非ゴールドユーザーは75セントの手数料を支払う必要がある。
これに対し、チャールズ・シュワブの手数料は1契約あたり2.25ドル、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のイートレード(E*TRADE)では先物が1.50ドル、暗号資産の先物が2.50ドルの手数料がかかる。
ロビンフッドのインデックスオプションの手数料は、ゴールド会員が1契約あたり35セント、他の会員は50セントに設定されており、業界の競合他社よりも低い。
なお同社の月間アクティブ ユーザー数(MAU)は 6月30日時点で1,180万人。プレミアムゴールドの顧客数は198万人となっている。
アナリストらは以前、ロビンフッドの先物取引への参入は、手数料を課せば個人投資家から警戒される可能性があるとの指摘を以前にしていたが、市場シェアを拡大する新たな機会も生まれる可能性があるとも述べていた。
ロビンフッドは今年初め、2024年に「収益性の高い成長」を推進することに注力しながら利益率の拡大を約束していた。同社が3四半期連続で利益を報告したことも投資家の期待を高め、年初来で株価が100%以上上昇する一因となっている。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Robinhood launches desktop platform, adds futures and index options trading to app
(Reporting by Manya Saini and Niket Nishant in Bengaluru; Editing by Shailesh Kuber)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters