BitGoがSTプラットフォーム開発のHarborを買収

BitGoがSTプラットフォーム開発のHarborを買収

BitGoがセキュリティートークン発行プラットフォーム「Harbor」を買収したことが明らかになった。買収したのは、親会社のHarbor、子会社のブローカーディーラーと証券代行子会社である。なお、買収額などの詳細は明らかになっていない。

BitGoのCEOのMike Belshe(マイク・ベルシー)氏は「BitGoのビジョンは常にデジタル通貨のウォレット機能やカストディ機能に留まりません。だからHarborを買収することで、金融サービス向けの新しいデジタルインフラストラクチャを構築するというBitGoのビジョンがさらに高められます」とコメント。

HarborのCEOのJoshua Stein(ジョシュア・ステイン)氏は「最終的にはユーザーがデジタル通貨のための信頼できるフルスタックソリューションインフラを必要とすると考えています。実際に、現在BitGoは市場の発展に合わせて制度上の要件に対応できるようになっています。そして、BitGoは、Harborの設立以来、重要なパートナーでした。具体的には、BitGo Business WalletとBitGo CustodyをHarborのサービスに統合するために緊密に協力してきました」とコメント。

編集部のコメント

Harborは、セキュリティトークン発行者のためにワンストップでの発行を可能にするプラットフォームになることを目標に2018年に設立されました。これまで、Andreessen Horowitz、Craft Ventures、Fifth Wall、Valor Equity Partners、VY Capitalなどの大手ベンチャーキャピタル企業から投資を受けてきました。

2019年11月、Harborはアメリカの証券取引委員会(SEC)から証券代行業者のライセンスを受け取って、ブローカーディーラーライセンスと転送業者ライセンスの両方を付与された最初のブロックチェーン企業になっていました。HarborはERC-20トークンベースでR-Tokenを発行して、セキュリティートークンプラットフォームを機能させていました。

利用方法としては、ユーザーがHarborのプラットフォームへ資金を送金すると、R-Token発行のプラットフォームがコントラクトをはしらせ、R-Tokenを1つの機能であるRegulator Serviceへ認証してもらい、その結果R-Tokenが発行されるというプロセスとなっています。

BitGoは、2013年にアメリカカリフォルニア州パロアルトに本社を置くデジタル資産信託会社とブロックチェーンのセキュリティ会社です。 Mike BelsheとBen Davenport(ベン・デーブンポート)によって設立されました。BitGoが展開している事業は、デジタル通貨、ブロックチェーン領域のカストディー、清算と送金、ステーキング、ビジネスウォレット、プライベートブロックチェーン開発&提供、API連携サービスとバラエティ豊かに事業展開しています。

そして、対応通貨は全部で23通貨、提携企業は日本のSBI HOLDINGSを含めて16社となっています。2019年11月に開幕したConsensus Invest2019でBiTGoはビットコインのオンチェーントランザクションのうち20%を処理していることを明らかにしていて、目指しているのは1兆ドルのカストディのようです。

今回のHarborの買収によって、BitGoは総合的なデジタル通貨プラットフォームになります。機能として、証券会社、証券取引所、銀行、信託機能をインテグレートさせたプラットフォームになります。

あたらしい経済編集部は、BitGoが今後どのように競合と立ち振る舞い、セキュリティートークン市場を含めたデジタル通貨市場を猛進していくのか興味深く分析していきたいと考えています。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:Lidiia-Moo)

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

ペイパル「PYUSD」がイーサリアムとソラナ間で転送可能に、レイヤーゼロのOFT標準採用で

米決済大手ペイパル(PayPal)が、オムニチェーンプロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」と統合し、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)間で、独自ステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」の転送を可能にした。「レイヤーゼロ」の公式ブログより11月12日発表された

ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」、アプトス・アービトラム・アバランチ・OPメインネット・ポリゴンに展開開始

米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)提供のトークン化ファンド「ブラックロック・米ドル機関投資家向けデジタル流動性ファンド(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund:BUIDL)」が、新たに5つのブロックチェーン上に展開開始したことが11月13日発表された

イーロンマスクが2018年にOpenAIのICO提案を却下、裁判資料にて明らかに

電気自動車会社テスラ(Tesla)のCEOで実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏が、2018年初頭にAIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOであるサム・アルトマン(Sam Altman)氏によるICO(イニシャル・コイン・オファリング)を阻止したと主張している