国家介入回避のためプロトコルレベルでサービス設計すべき
米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏が、「国家の介入に抵抗できるようにプロトコルレベルからサービスを設計しなければ、テレグラムのような事態に直面することになる」との考えを示した。
シンガポールで行われたカンファレンス「トークン2049」にて同氏が9月18日発言した。
スノーデン氏は同イベントにオンラインで登壇し、「言論に対する次の脅威」と題する演説を行った。
その中でスノーデン氏は、過去15年間で世界は多くの変化を遂げたが、諜報機関の慣行はさほど変わっておらず、監視は拡大していると述べた。
また、8月にフランスで逮捕されたテレグラム(Telegram)のCEOであるパベル・デュロフ(Pavel Durov)氏についても言及。今回の逮捕は、国家に十分な管理権限を提供しないテレグラムに対し、不満を感じていた旧勢力がデュロフ氏をフランスで拘束することでテレグラムを支配しようとした組織的行動だとした。
なおデュロフ氏の逮捕後、テレグラムは利用規約を変更している。
「国家による介入に抵抗できるようにプロトコルレベルでサービスを設計していない場合、厳しい現実が待ち受けている」とスノーデン氏は述べ、 「これこそが暗号化技術、特にビットコインの独自性であり、強みでもある。 それは、不可避な結果を回避するために、最悪のシナリオを想定して設計されたシステム」だと述べた。
なおスノーデン氏はテレグラムを「プライベートメッセージ機能を備えた通常のチャットルームのようなもの」だとし、安全な通信ツールとは言えないとしている。
ソラナは過度に中央集権的と懸念も
またスノーデン氏は、ソラナ(SOL)の運用モデルを過度に中央集権的だと指摘。
ソラナは技術的な卓越性で度々称賛されるが、ブロックチェーン技術に期待される分散化の理念には沿っていないかもしれないとの懸念を示している。
スノーデン氏は、ソラナの開発者はプラットフォームの速度とコスト効率を高めるために意図的に中央集権化を進めていると主張。スノーデン氏は、この戦略は目先の目標を達成する上では成功しているものの、重大なリスクと妥協を招くものであると指摘している。
またソラナのプラットフォームが主にミームコインや詐欺の温床となっているともスノーデン氏は暗に指摘している。
「名前は挙げたくないが、ソラナは優れたアイデアを取り入れ、そして、すべてを中央集権化したらとばかりに突き進んでいる。 確かに、より高速で、より効率的で、より安価になるだろう。 しかし、誰も使っていない。 なぜなら、もし誰かがそこに重要なものを置いた場合、すべてのステートがその方向に向かって動き始めれば、それは人々が簡単に奪うことのできるレバーを持つシステムになってしまうからだ」とスノーデン氏は述べている。
画像:Reuters