eToroが米SECと和解
小売取引プラットフォームのイートロ(eToro)は、米証券取引委員会(SEC)との和解の一環として、顧客に対してほぼ全ての暗号資産(仮想通貨)の提供を停止する。SECが9月12日発表した。
またイートロは、暗号資産の提供に関連して、未登録のブローカーおよび決済機関として運営していたとして受けた告発について、SECに150万ドル(約2.1億円)の罰金を支払うことに合意した。これにより和解に至った。
SECは「イートロが少なくとも2020年以降、同規制機関が証券と見なす暗号資産を取引する機能を米国の顧客に取引させていたが、連邦証券法の登録要件に準拠していなかった」と主張している。
同社はSECの調査結果を認めも否定もしていない。和解は同社の米国ユーザーにのみに影響する。
イートロの共同創業者でCEOのヨニ・アッシア(Yoni Assia)氏は、今回の和解について「当社の多様化した米国事業全体で革新的かつ関連性の高い製品の提供に集中できる」と声明の中で述べた。
またアッシア氏は「暗号資産の早期採用者であり、規制された証券の重要なプレーヤーとして、当社が規制に準拠し、世界中の規制機関と密接に協力することは重要である」と話した。
今後、米国のイートロ顧客がプラットフォームで取引できる暗号資産はビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、イーサリアム(ETH)のみとなる。イートロは顧客に対し、その他全てのトークンを売却する機会を180日間提供する。
「投資契約として提供されるトークンをプラットフォームから削除することで、eToroは規制に準拠し、確立された規制枠組み内で運営することを選択した」とSECの執行部門のディレクターであるガーブィル・グレワル(Gurbir Grewal)氏は声明で伝えた。
「この決議は投資家保護を強化するだけでなく、他の暗号資産仲介業者に対しても道を提供する」とグレワル氏は述べた。
SECは、ほとんどの暗号資産トークンが証券であり、登録規則の対象であると主張しているが、多くの暗号資産関連企業はそれに反論し、規制機関の過剰介入を非難している。
SECは、コインベース(Coinbase)、バイナンス(Binance)、クラーケン(Kraken)など、多くの暗号資産プラットフォームと法廷闘争を繰り広げている。これらのプラットフォームはすべて、株式や債券とは異なり、暗号資産は証券の定義を満たしていないと主張している。
イートロはニューヨークまたはロンドンでの新規株式公開を検討していると、アッシア氏は3月にフィナンシャル・タイムズに語った。同社は2021年に特別目的買収会社との合併を通じて104億ドル(約1兆4,674億円)で上場しようとしたが、1年後にその取引を断念した。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
eToro to shut down nearly all crypto trading in settlement with US SEC
(Reporting by Hannah Lang in New York; Editing by Mark Potter and Emelia Sithole-Matarise)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters