DMM、プログマと独自ステーブルコイン発行の共同検討開始、SMP価格安定化の目的で

DMMがプログマと独自ステーブルコイン発行の共同検討開始

Progmat(プログマ)社、DMM.comおよび同子会社DMM Cryptoが、改正資金決済法に準拠した新たなステーブルコイン(SC)発行に向けた共同検討開始を8月23日発表した。同SCは、2024年度内に発行することを目標に、テストネット上で発行・検証を開始したとのこと。

今回3社が開始したSC発行の共同検討は、DMM Cryptoの独自トークン(暗号資産)「SMP」の価格安定化を目指すもの。3つのフェーズにて実施される。なお「SMP」は、DMMグループが構想するデジタル経済圏「Seamoon Protocol(シームーンプロトコル)」において2024年内に発行予定のトークンだ。

なお新たに発行検討する同SCは、プログマ社提供のSC発行・管理基盤「Progmat Coin(プログマコイン)」を用いて発行されるという。3号電子決済手段(特定信託受益権)として円貨建ておよび外貨建てのSCとして発行されるとのこと。接続するブロックチェーンはEthereum(イーサリアム)の他、複数チェーンへの拡張を想定しているという。なお裏付資産(預金)運用先は任意の金融機関。発行依頼者(委託者)はDMM Cryptoで発行者(受託者)は別途公表するとのこと。

ステーブルコイン発行検討について

同SC発行は、前述したとおり「SMP」の価格安定化を目指すため取り組みである。暗号資産は柔軟な発行や流通が可能で拡大がしやすい一方、価値の安定が難しいという特性(トリレンマ)を有している点が今回の検討の背景にある。

具体的には「SMP」の価格安定化施策として、発行体であるDMM Crypto の事業収益のうち一定割合を用いてそのまま実施する場合、事業収益額と「SMP」価格が直接的に連動し、価格が安定化しづらいというデメリットがあるとのこと。

他方では、事業収益のうち一部を価格安定化のための資金として銀行預金にプールしておく場合、第三者は外部から残高が検証できない。そして銀行預金ではなく他の暗号資産や海外のステーブルコインのトレジャリープールに資金をプールしておく場合、ブロックチェーン上で残高の検証は可能になるものの、相応に価格変動リスクや信用リスクを負うことになるという。

そこで共同検討のフェーズ1 では、売上を基にした資産をブロックチェーン上のトレジャリープールにプールしておく手段として、新たなSCを発行するとのこと。この方式は、国内規制に基づき、より利用者保護を図ることが可能であるという。

さらに共同検討フェーズ2では、同SCをDMM Cryptoに加えてDMMグループ企業間の決済手段として活用する他、DMM Cryptoと取引先企業間の決済手段としての活用、DMM Cryptoから取引先企業への「SMP」貸与の返済手段としての活用等により、利用シーンを拡大するとのこと。

そして最終的なフェーズ3では、同SCをホワイトリスト登録済みの取引先企業間の決済手段として活用することや、本人確認済みのユーザー(ゲームプレイヤー等)による決済手段(クレジットカード決済の代替)としての活用を行うという。同SCの活用を決済手段としての普及にまで視野に入れているとのことだ。

なお現在「Progmat Coin」基盤の活用により発行が検討されているSCとして今回開始された事例の他、日本円ステーブルコイン「JPYC」の信託型や、暗号資産(仮想通貨)交換業者間における資金決済向上を目的とした円貨建ての「XJPY」と米ドル建ての「XUSD」、Binance Japan(バイナンスジャパン)による円貨建てと外貨建てのSCなどが発表されている。

DMM Cryptoについて

DMM Crypto(旧DM2C Studio)は、DMM.comがブロックチェーンゲーム、NFTプロジェクトなどのweb3事業を展開することを目的に2023年1月に設立したDMMのグループ会社だ。独自トークンを利用したデジタル空間における新たなエンタメ体験を提供するため、web3プロジェクト「Seamoon Protocol」を2023年に開始。Oasys Layer2上の独自ブロックチェーン「DM2 Verse」の公開や、前述した独自トークンの発行、ブロックチェーンゲームなどの提供を予定している。

Progmat基盤について

プログマ社では、デジタルアセット発行・管理基盤「Progmat」を提供している。「Progmat」は今回DMMの取り組みで採用されたステーブルコイン(SC)用のインフラ「Progmat Coin」の他、セキュリティートークン(ST)用のインフラ「Progmat ST」、ユーティリティトークン(UT)用のインフラ「Progmat UT」にて構成されている。

「Progmat Coin」ではEthereum(イーサリアム)やPolygon(ポリゴン)等、複数のパブリックブロックチェーンを利用するマルチチェーン対応のプラットフォームとなっている。また「Progmat ST」においてはエンタープライズ向けブロックチェーン「コルダ」が、「Progmat UT」では同じくエンタープライズ向けブロックチェーン「Quorum(クオーラム)」が採用されている。

参考:DMM Crypto
画像:iStocks/Liudmyla-Lishchyshyna・Who_I_am

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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