カストディ大手ステートストリート、スイスのトーラスと提携、サービス拡大へ

ステートストリートがスイスのトーラスと提携

米金融サービスプロバイダーのステートストリート(State Street)がスイスの暗号資産企業トーラス(Taurus)と提携し、現実世界の資産を取引可能なトークンに変えるなど、新たなデジタル資産サービスを提供し、こうした投資に対する機関投資家の需要の高まりに応えようとしている。ステートストリートがロイターに語った。

暗号資産が、先物や上場投資信託などの規制商品を通じて金融システムに広まるにつれ、インフレヘッジやポートフォリオの多様化を求める機関投資家の関心が高まっている。

今回の提携を通じて、暗号資産ファンドの管理・会計サービスも提供するステートストリートは、顧客の暗号資産を保有し、ファンドやその他の証券などトークン化された資産の作成を支援する。

なおロイター通信がこの提携について最初に報じた。

トークン化とは、従来の資産の所有権を、すべてのユーザーが管理する分散型データベースであるブロックチェーン上のデジタルトークンに変換することである。支持者らは、透明性とセキュリティを強化するコンセンサスメカニズムによって、資産の取引が容易になると述べている。

例えば資産運用会社大手ブラックロック(BlackRock)は、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上にトークン化されたファンドを持ち、投資家は米ドルの利回りを得られる。

ステートストリートの最高製品責任者でデジタル資産ソリューションの責任者であるドナ・ミルロッド(Donna Milrod)氏は「この新しいサービスは、ファンドのトークン化を支援するパートナーを探している資産運用顧客向けだ」と述べた。

「私たちは、顧客に従来の金融と(デジタル資産)の両方を並行して扱う能力を提供する必要がある」とも同氏は話した。

さらに同氏は「このサービスは近い将来に開始される予定だ」とも述べたが、詳細は明らかにしなかった。

またステートストリートは、セキュリティ管理がそれほど厳格でない可能性のある暗号通資産取引所やウォレットプロバイダーではなく、銀行などの信頼できるパートナーが暗号資産のカストディアンとして機能することを求める機関のニーズにも応えている。

今年、ビットコインとイーサリアムの現物ETF(上場投資信託)がいくつかローンチされたため、機関投資家の需要は高まった。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは第2四半期に6億ドル以上のビットコイン現物ETFを購入。こうした商品にヘッジファンド、年金基金、ファイナンシャル・アドバイザーが参入した。

ステートストリートの子会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(State Street Global Advisors:SSGA)は6月、ギャラクシー・アセット・マネジメント(Galaxy Asset Management)が管理する暗号資産ファンドの登録を米SEC(証券取引委員会)に申請した。同ファンドは暗号資産企業や暗号資産ベースのETFへのエクスポージャーを提供する。SSGAは管理サービスを提供する。

銀行が顧客に代わって暗号資産を保護できるようにするカストディサービスの提供計画は、SECが2022年の会計ガイダンスを改訂することに依存しており、上場銀行が顧客のために暗号資産を保管するには非常にコストがかかるとミルロッド氏は述べた。

クレディ・スイス(現在はUBS傘下)が支援するトーラスは昨年、ドイツ銀行と暗号資産の保管とトークン化について同様の提携を結んだ。ニューヨークメロン銀行(BNYメロン)も2022年に暗号資産カストディプラットフォームを立ち上げている。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Custody giant State Street expands crypto services in new partnership
(Reporting by Hannah Lang in New York; Editing by Michelle Price and Richard Chang)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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