米次期政権、いずれでも暗号資産に好意的=コインベースCEO

米次期政権はいずれでも暗号資産に好意的

米ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)のCEOであるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏が、11月の米大統領選などを前に暗号資産業界の政治的な影響力が高まっているとして、選挙の勝敗に関わらず次期米政権は暗号資産に対して「建設的」な対応をするだろうとの見方を8月1日に示した。

暗号資産業界は、価格変動のリスクが大きいほか、経営体制の不備などから証券法を逸脱しているとして米証券取引委員会(SEC)から厳しく監視されるなど、業界の地位は必ずしも高くなかった。しかし、米金融業界やイーロン・マスク(Elon Mask)氏などによる豊富な資金流入に加え、現物暗号資産の上場投資信託(ETF)の登場により、地位向上が期待されている。共和党、民主党のいずれもが、ここ数週間で同業界の影響力が高まっていることを認めている。

アームストロング氏はアナリストらに対し「(暗号資産を)支持する人たちは、選挙を意識し一致して声を上げている。両党の政治家も注目しており、包括的な暗号資産法案を可決する機運が高まっている」と述べた。

前回の大統領選時には存在していなかった、暗号資産の支持者らによる3つの主要な特別政治活動委員会(スーパーPAC)「フェアシェイク(Fairshake)」、「ディフェンド・アメリカン・ジョブズ(Defend American Jobs)」、「プロテクト・プログレス(Protect Progress)」は、暗号資産に好意的な候補者を支援するため、2億3,000万ドル(約332億円)以上を集めている。こうした状況を受け、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は前週、ビットコインの「備蓄」をつくると約束した。英フィナンシャル・タイムズ紙によると、民主党候補の選出が確実視されているカマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領の顧問も、関係を「リセット」するために大手暗号資産企業に接触しているとされる。

投資プラットフォーム提供の英AJベル(AJ Bell)の投資アナリストは「トランプ氏は暗号資産賛成派なので、彼が勝利すれば理論上は業界に追い風が吹く」とロイターに語った。「ハリス氏の立場はまだ分からないが、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領よりも穏健な姿勢を取る可能性があるとの報道もある」とも指摘している。

アームストロング氏は、法律上規定があいまいな部分に関する連邦政府による裁量を認めた「シェブロン法理」について、最高裁がこれを覆した判決を称賛した。「われわれはこの判断を、機関の権限の濫用に対する最高裁の懐疑的な姿勢の表れだと見ている。(SECの裁量を弱めることになり)業界全体にとってプラスだと考えている」とも強調した。

米金融大手シティグループ(Citigroup)のアナリストらは先月「米国の選挙情勢の変化と、長年続いたシェブロン判例を最高裁が覆したことで、コインベースの規制リスクに対するわれわれの見方が変わった」との見方を示している。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
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