ソラミツがパラオとパプアニューギニアの金融システム高度化に向けた実証事業
国内ブロックチェーン技術開発企業ソラミツが、パラオ国およびパプアニューギニア国の金融システム高度化に向けた実証事業の開始を7月17日発表した。
なお同事業は、経済産業省が実施する「令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)に関わる間接補助事業」へソラミツが採択されたことにより実施される。
パラオでの取り組み
パラオでは、ソラミツ開発のブロックチェーン技術「Hyperledger Iroha」を活用し、同国政府の財務省の要請に基づき貯蓄国債の発行・管理・運営システム及びそのアプリケーションを開発するという。
パラオは現地通貨としてUSドルが流通しており、米国の銀行(ハワイ銀行やグアム銀行)が預金として住民の資金を吸収しているという。その資金はパラオの経済成長やインフラ整備などに利用されず、残念ながら米国本土で運用されている状況とのこと。
その状況を改善すべく、パラオ財務省は貯蓄国債を発行し、パラオ住民の資金を吸収し、国家財政の調達方法の多様化を図り、同国の経済成長や橋、道路、公共施設等のインフラ投資に活用したいと計画しているとのことで、そのためのプロジェクト支援をソラミツは行うとのことだ。
発表によるとブロックチェーンを活用して貯蓄国債発行管理システムを構築するメリットは、「偽造、改ざん、なりすましなどを防止し、セキュリティが高くなる」、「将来、ブロックチェーンを活用したCBDC等を導入した場合、スマートコントラクト等の技術を活用して貯蓄国債の購入・売却時の資金精算がスムーズになる」、「貯蓄国債発行管理システムの構築コストや運営コスト、手数料等が低減できる」ことであるとのことだ。
パフアニューギニアでの取り組み
パプアニューギニアでは、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証実験を行い、加えて、ブロックチェーン技術を利用した大洋州島嶼国地域の共通プラットフォームの構築を目指すとのこと。CBDCの実証実験にはソラミツのブロックチェーン技術を活用するという。
パプアニューギニアでは金融包摂が大きな課題の一つであり、且つ治安が不安定な地域が多く、暴力や脅迫を用いて強盗や追い剥ぎなどが多発しており、強盗に遭った以後に何か記録が残り回収などの可能性があるデジタル技術を探していたとのこと。
今回の実証実験は、これらの課題を改善すべく実施されるとのことだ。
また太平洋島嶼国は、それぞれ人口規模や経済規模が限定的であるため、各国毎に独自の金融システムを導入する場合には、その導入・開発・運営コストを賄うための負担が大きくのしかかるとのこと。
そこでソラミツは、同社のブロックチェーン技術を利用した共通プラットフォーム構築を目指し、CBDCや貯蓄国債などがより安価で且つ効率的に導入に出来るような仕組みの開発を目指すとのことだ。
ソラミツの今までの取り組み
ソラミツではThe Linux Foundation(リナックス財団)がオープンソース・ブロックチェーン基盤として進めている「ハイパーレジャーイロハ」の開発に貢献している。
「ハイパーレジャーイロハ」はこれまでに、カンボジア国立銀行のデジタル決済システム「Bakong/バコン」の正式運用や、ラオスのCBDC(中央銀行デジタル通貨)実証実験「DLAK/デジタル・ラオ・キープ」、ソロモン諸島のCBDC実証実験「Bokolo Cash/ボコロ・キャッシュ」を始め、国内では会津大学にて採用された国内初のデジタル地域通貨「白虎」など、国内外でCBDCや地域デジタル通貨の発行基盤として利用されている。
またソラミツはアジア開発銀行(フィリピン)等と共に、異なるブロックチェーン同士を接続した国際証券決済の実証実験を行なっている。
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参考:ソラミツ
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