DMM Bitcoinの不正流出に北朝鮮ハッカー集団「ラザルス」関与か

「Huione Guarantee」でマネロンか

国内暗号資産(仮想通貨)取引所DMMビットコイン(DMM Bitcoin)のビットコイン(BTC)不正流出に、北朝鮮に関連するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」が関与している可能性が浮上した。ブロックチェーン専門家で暗号資産関連の探偵であるザックXBT(ZachXBT)氏が7月14日自身のXアカウントにて報告している。

同氏は、DMMビットコインから不正流出したビットコインのうち、3,500万ドル(約55億円)超相当がオンラインマーケットプレイス「Huione Guarantee(汇旺担保)」に送られマネーロンダリングされたと報告した。

また、 ロンダリングの手法とオフチェーン指標の類似性から、ハッキングの背後にラザルスがいることが疑われていると述べた。

さらにザックXBT氏は、テザー社(Tether)が先週末、「Huione Guarantee」関連のウォレットをブラックリストに入れたことを報告。

同ウォレットはトロン上のウォレットで、2,960万ドル(約46億円)相当のUSDTを保有していた。

ZachXBT氏はマネーロンダリングの経緯を「ミキシングサービスを介したビットコインが、THORチェーン(THORChain)、トレシュッド(Threshold)、アバランチ(Avalanche)のブリッジ経由でビットコインやイーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)に資金がブリッジされ、SWFT経由でUSDTにスワップされ、トロンのブロックチェーンを経由してHuione Guaranteeに送られた」と説明している。

「Huione Guarantee」は東南アジアにおける不正資金のハブとなっており、「豚の食肉解体(pig butchering)」などの詐欺に利用されているという。なお同マーケットプレイスはカンボジアの支配者一族とつながりがあるとみられている。同マーケットプレイスの取締役の1人であるフン・トー(Hun To)氏は、カンボジアの首相であるフン・マネット(Hun Manet)氏のいとこにあたる。

ブロックチェーン分析企業のエリプティック(Elliptic)の7月10日のレポートによれば、「Huione Guarantee」の業者は、越境(クロスボーダー)送金、ステーブルコイン、現金、他の資産へのスワップ等のマネーロンダリングを明確に提供しているという。また、「Huione Guarantee」本体や業者のウォレットが2021年以降、合計110億ドル(約1.7兆円)以上の資産を受け取っているとのことだ。

DMM Bitcoinの不正流出は5月31日に報告された、流出したビットコインは4,502.9BTCであった。

同取引所は不正流出の第一報にて、顧客より預かっているビットコインについて、流出相当分のビットコイン(BTC)を、グループ会社からの支援のもと調達し、全量保証すると伝えていた。

関連ニュース

参考:Elliptic
image:iStocks/JohnDWilliams

 

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【9/6話題】テレグラムCEOが逮捕後初の声明、トランプが米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言など(音声ニュース)

テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も、トランプ、米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言。イーロンマスクと共に米政府財務監査行う姿勢も、スイ(SUI)、機関投資家向け米ドルステーブルコイン「AUSD」利用可能に、モジュラーブロックチェーン「Elixir」、最終テストネット公開、EigenLayer、メジャーアップデート「アイゲンポッドアップグレード」導入、FlowがEVM対応開始、メタマスクでも利用可能に、TONブロックチェーン、総トランザクション数が10億件を突破、半数は3か月、Penpieで27Mドルの不正流出、Pendleは105Mドルの保護に成功

Sponsored

暗号資産決済Mercuryoがマルチチェーンデビットカード提供開始、マスターカードと提携で

暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォーム「マーキュリョ(Mercuryo)」が決済大手の米マスターカード(Mastercard)と提携し、ノンカストディアル型のウォレットから暗号資産を直接使えるマルチチェーンデビットカード「スペンド(Spend)」の提供開始を9月5日発表した