コインベースとリップル社が対SEC裁判で新たな裁判資料提出、BNBの証券性却下の判断を引用で

バイナンス対SEC裁判での判断例を引用

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)と米リップル(Ripple)社が、米証券取引委員会(SEC)との裁判で新たな裁判資料を7月2日提出した。その中で、SECとバイナンスの裁判にてBNBの二次販売における証券性が却下されたことに言及。SECの証券性判断の基準の不透明性や強制執行について苦言を呈している。

7月2日のバイナンスの発表によれば、同社とSECの裁判において、ワシントンD.C.地方裁判所のエイミー・バーマン・ジャクソン(Amy Berman Jackson)判事は、部分的にバイナンスの主張を支持し、ステーブルコインBUSDや貸暗号資産サービス「シンプルアーン(Simple Earn)」プログラムの提供は投資契約に分類されないと判断したという。

ちなみにジャクソン判事は、バイナンスに対するSECの告発の大部分を続行することを認めている。

また、ジャクソン判事はBNBトークンの二次販売についても、リップル裁判でのアナリサ・トーレス(Analisa Torres)判事による判断を引用し証券性を却下している。

コインベースの主張

コインベースは新たな提出書類の中で、「ジャクソン判事は意見書にて、SECによる証券法に関する新たな解釈が『ハウィーテストの枠組みから逸脱しており、裁判所や業界、将来の買い手と売り手にとって、証券であるトークンとそうでないトークンとの明確な区別基準を示さないままにしている』と認めている」と指摘した。

コインベースとSECは現在、複数の訴訟にて係争中だ。コインベースは2022年7月、規制の明確化を求める請願をSECに提出。回答しないSECに対し法的措置をとっている。また、今年6月には情報公開法(Freedom of Information Act)の要請に応じなかったとしてSECを起訴している。一方SECは昨年6月、コインベースが有価証券を提供しているとして提訴している。

SECは今回の提出書類でも、「SECからのトークンの証券性の判断基準についての説明は一貫して行われておらず、強制執行により暗号資産業界に遡及的にそれを課そうとしている」と述べている。

リップル社の主張

リップル社もバイナンスの報告を受け、対SEC裁判において書類を新たに提出した。

リップル社はジャクソン判事の意見を引用し、「ハウィーテストにデジタル資産を厳密に当てはめることは難しい」し、数十億ドル規模の暗号資産業界を各訴訟を通じて監督するのは「効率的な進め方ではないと思われる」と指摘。

また、関係する当事者に対して一貫性のあるガイドラインを与えないことになるリスクも指摘している。

リップル社は6月21日、同社に対する民事訴訟において、連邦証券法に違反したとの申し立ては全て棄却されたことを報告している。

同裁判を担当するカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所のフィリス・ハミルトン(Phyllis Hamilton)判事は、暗号資産取引所で販売されたXRPはハウィー・テストの全ての要素を満たさないとするアナリサ・トーレス判事の考えに従うべきとしたが、非機関投資家向けに販売されたXRPについて、証券ではないとするトレース判事の見解を否定している。

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参考:裁判資料(コインベース)裁判資料(リップル)バイナンス発表
images:iStocks/AndreyPopov

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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