経営破綻のシルバーゲート銀行、コンプライアンス違反について規制当局と和解

シルバーゲート銀行がコンプライアンス違反について規制当局と和解

破綻した暗号資産(仮想通貨)貸付業者シルバーゲート銀行(Silvergate Bank)は、コンプライアンス違反に関する調査を終わらせるために6300万ドルを支払うことに同意した。これは、2023年に一連の銀行破綻に関連して法人および個人に対して行われた最初の連邦執行措置である。

米連邦準備制度理事会(FRB)とカリフォルニア州規制当局は7月1日、マネーロンダリング防止法を遵守するためのシルバーゲートの取引監視に不備があったと発表した。 その一方で米証券取引委員会(SEC)は、同行とその最高幹部3人が誤解を招く発言をしたと述べた。

シルバーゲート銀行の元最高経営責任者アラン・レーン(Alan Lane)氏と元最高リスク責任者キャスリーン・フラハー(Kathleen Fraher)氏は、同行の顧客の監視に関して投資家を誤解させたというSECの告発を和解することに合意した。しかし両氏は、容疑を認めることも否定することもしなかった。

SECによると、両氏は永久差し止め命令、5年間の役員・取締役資格停止、それぞれ100万ドルと25万ドルの民事罰に同意した。なおこのことについて、両氏からコメントは得られていない。

またSECは、元最高財務責任者のアントニオ・マルティーノ(Antonio Martino)氏を、FTXの破綻後に予想される証券売却による同社の損失について投資家を誤解させたとして起訴した。SECによると、同氏はこの告発に反論しているという。

「アントニオ・マルティーノ氏は、米国証券取引委員会の告発を全面的に否定しており、同氏は、SECの行き過ぎと事実の誤った解釈が明らかになると確信しており、法廷で私は積極的に弁護するだろう」とマルティーノ氏の弁護士は声明で述べた。

カリフォルニア州ラホーヤを拠点とするシルバーゲートは、主に暗号資産業界の顧客にサービスを提供していた。しかし暗号資産取引所FTXの破綻やデジタル資産の低迷を受けて損失を被ったため、2023年3月に事業を縮小し、自主的に清算すると発表した。

2023年に破綻した4つの米国銀行のうちの1つである。破綻したシリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank)と同様、シルバーゲートは預金者が80億ドル以上を引き出したため、損失覚悟で負債証券を売却した。

SECの告発を認めも否定もしなかったシルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)の広報担当者は、預金はすべて顧客に返済されたと述べた。「本日発表された和解は、シルバーゲートの銀行認可の引き渡しを促進するものであり、銀行の継続的な秩序ある清算の一環であり、連邦準備制度理事会、米カリフォルニア州金融保護イノベーション局(DFPI)、SECによる調査を成功裏に終結させるものである」と担当者は述べた。

なおシルバーゲート・キャピタルはDFPIに2,000万ドル、FRBに4,300万ドルを支払う一方、SECが課す5,000万ドルの罰金はシルバーゲートがFRBとDFPIに支払う金額で相殺される。

関連ニュース

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Defunct Silvergate Bank’s owner settles with regulators over compliance lapses
(Reporting by Michelle Price; Editing by Stephen Coates)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【7/4話題】コンセンシスがウォレットガード買収、Aave「GHO」がArbitrumでローンチなど

インド暗号資産取引所CoinDCX、ドバイの取引所BitOasisを買収 Aaveの独自ステーブルコイン「GHO」がArbitrumでローンチ、チェーンリンク「CCIP」活用で コインベースとリップル社が対SEC裁判で新たな裁判資料提出、BNBの証券性却下の判断を引用で バハマが「中銀デジタル通貨」提供の銀行を規制へ、普及促進で

コインベースとリップル社が対SEC裁判で新たな裁判資料提出、BNBの証券性却下の判断を引用で

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)と米リップル(Ripple)社が、米証券取引委員会(SEC)との裁判で新たな裁判資料を7月2日提出した。その中で、SECとバイナンスの裁判にてBNBの二次販売における証券性が却下されたことに言及。SECの証券性判断の基準の不透明性や強制執行について苦言を呈している

【7/3話題】ロビンフッドが暗号資産先物を検討中か、ASTR供給量5%焼却の提案可決など

ロビンフッド、米国と欧州で暗号資産先物の提供を検討中か=報道、アスターネットワークの「ASTR」供給量5%が焼却へ、提案可決で、米連邦地裁が「暗号資産は証券ではない」と判決、「BNB」の二次販売の証券性等も却下=バイナンス発表、ドイツ政府機関が84億円相当のビットコインを複数取引所に送金か、売り圧の懸念も、パクソス、シンガポールでステーブルコイン立ち上げ承認、DBS銀行と提携も、バイナンス、11銘柄の暗号資産を監視対象に追加、上場廃止の可能性も、暗号資産投資サービス提供「アブラ」、財務管理ソリューション提供開始、企業やファミリーオフィス向けに、ユニスワップウォレットがオンランプサービス提供開始、Transakとの提携で

Sponsored

ユニスワップウォレットがオンランプサービス提供開始、Transakとの提携で

分散型取引所(DEX)の「ユニスワップ(Uniswap)」開発元のユニスワップラボ(Uniswap Labs)が、web3決済インフラ提供のトランサック(Transak)と提携し、「ユニスワップウォレット(Uniswap Wallet)」上でのオンランプサービスの提供を開始した。トランサックが公式Xにて7月2日に発表している