自民党がデジタル通貨発行に対し政府に提言へ
自民党が、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に対し、春にも提言をまとめ政府へ対応を促す意向であることを1月23日、日経新聞の報道で明らかになった。
自民党調査会や議員連盟が個人情報保護や資金洗浄(マネーロンダリング)の視点から意見をまとめるとのこと。
また自民党提言には、スタートアップ企業などによるブロックチェーン技術の開発支援や育成も盛り込まれる見通しでもあるとのこと。
提言に向け経済成長戦略本部は、デジタル通貨「eクローナ」を2021年に発行する予定のスウェーデンを視察し、スウェーデン中銀の幹部から意見を聞いた。また金融調査会では、カンボジア中銀とデジタル通貨「バコン」を共同開発したブロックチェーン開発会社、ソラミツへのヒアリングを実施したとのこと。
1月21日に日銀が欧州中央銀行(ECB)などと共同研究に乗り出したが、前例のない政策であることから、党は独自に将来予想される立法に備える。
また同提言は、中国デジタル人民元(DCEP)発行にてデジタル通貨で先んじている中国への警戒も背景にあるとのこと。
前財務官でアジア開発銀行(ADB)総裁の浅川雅嗣氏は議連会合の講演で「利用者の決済や送金のデータが人民銀に集まる」とDCEPへの懸念を述べている。
また甘利明税制調査会長は「米中の中長期の覇権争いに影響する可能性がある。いち早く対応するため政府に警鐘を鳴らす役割を果たしたい」と語ったとのことだ
編集部のコメント
1月21日に日銀は、欧州中央銀行、国際決済銀行、カナダ銀行、イングランド銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、と中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用の可能性をリサーチするグループを設立しました。今回の自民党の提言に向けた動きのように、CBDCに対し日本が本腰を入れたことがうかがえるニュースが続いています。
コメント:大津賀 新也(あたらしい経済)
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