日欧スウェーデンの中央銀行などがデジタル通貨共同研究グループ設立を発表
日本銀行、欧州中央銀行、国際決済銀行、カナダ銀行、イングランド銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、計7行が中央銀行銀行デジタル通貨(CBDC)の活用可能性をリサーチするグループを設立した。
このグループは、中央銀行デジタル通貨の活用のあり方、クロスボーダーの相互運用性を含む経済面、機能面、技術面での設計の選択肢を評価するとともに、先端的な技術について知見を共有する。
グループは、ブノワジョルジュクーレ(Benoît Cœuré)BISイノベーション・ハブ局長とジョン・カンリフ(Jon Cunliffe)イングランド銀行副総裁・BIS CPMI議長が共同議長を務め、参加機関の幹部で構成される。
編集部のコメント
日本銀行がこれまでCBDCに対して、どのようなアプローチを行ってきたのかを説明します。中心となるのは「Project Stella」です。このプロジェクトは2016年12月に欧州中央銀行と日本銀行によって立ち上げられました。設立の目的は、分散型台帳技術(distributed ledger technology、DLT)は、金融資産や金融取引等のデータを記録するための技術であり、単一の中央管理システムを置くことなく、ネットワークでつながれた複数のコンピュータがデータの検証・更新を行うことを可能とするものという解釈のもと、金融市場インフラへの DLT の応用可能性を調査するためです。
これまでプロジェクトは、3回レポートを出しています。
1.分散型台帳技術による資金決済システムの流動性節約機能の実現(https://www.boj.or.jp/announcements/release_2017/data/rel170906a3.pdf)
2.分散型台帳技術によるDvP決済の実現(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/data/rel180327a3.pdf)
3.クロスボーダー取引における支払の同期化(https://www.boj.or.jp/announcements/release_2019/data/rel190604a4.pdf)
これからの背景から、日本銀行と欧州中央銀行がタッグを組みCBDCに対してアプローチをかけるのは必然の流れです。そこに、実際にCBDCをテスト発行したスウェーデン・リクスバンクやカナダ銀行、国際決済銀行などが参画することは素晴らしいと思います。これにより、CBDCに関する大国の動きは、中国のDCEP、日本/ECB、フランスとなりました。注目すべきは、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)の動きです。既存のグローバル経済ネットワークは、FRBを中心に動いています。各国は、CBDCを発行することで、ドル経済圏からの脱却を狙っています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:Guzaliia Filimonova )