バイナンスがBSV上場廃止に関する英国訴訟の棄却求める
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、最大100億ポンド(約2兆円)規模になる英ロンドンでの訴訟に関して棄却するよう6月5日に裁判所へ求めた。
同社およびクラーケン(Kraken)、ビットリシャス(Bittylicious)、シェイプシフト(Shapeshift)の取引所3社は、共謀して暗号資産ビットコイン・サトシ・ビジョン(BSV)を「上場廃止」に追い込んだとして、20万人以上のBSV所有者の代表からロンドンの競争上訴裁判所(CAT)に提訴されている。
この訴訟を進めるために設立された団体「BSVクレームズ」の弁護士は、同取引所らが2019年にBSVを上場廃止するために反競争的行為を行ったと述べている。
原告は、この動きがBSVの価値を急落させ、BSVが「トップクラス」の暗号資産になるのを妨げられたと主張。これについての請求額を最大90億ポンド(原文ママ)と評価した。
「BSVクレームズ」の弁護士によると、取引所は英国の集団訴訟制度(米国の集団訴訟制度とほぼ同等)の下で、この訴訟が認定されることに反対していないという。なおこのような認定は訴訟の第一歩に過ぎない。
しかしバイナンスは、BSVが上場廃止になった後、BSVを保有していた人々のために提起された、「BSVが主要な暗号資産になる可能性があるとされる部分に関する訴訟」の破棄をCATに求めている。
バイナンスの弁護士ブライアン・ケネリー(Brian Kennelly)氏は、BSVを保有し続けた人々は「完全に自発的な決定」をしたと述べた。彼らは「合理的にそれを売却し、同等の暗号資産に再投資することができた」とケネリー氏は付け加えた。
「BSVクレームズ」の弁護団は、この問題は訴訟の残りの部分とともに裁判に進むべきだと法廷文書で主張した。
バイナンスは進行中の訴訟に関するコメントを拒否した。クラーケンの広報担当者は、この訴訟は「根拠がない」と述べた。
バイナンスら取引所は2019年にBSVを上場廃止したが、これはBSVに関係していたオーストラリアのコンピューター科学者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏が、自身を「サトシ・ナカモト」として知られるビットコインの匿名の発明者であると主張したことへの対応でもあった。
ライト氏は別の訴訟で、今年初めに自身がサトシであるという虚偽の主張を裏付けるために嘘をつき、文書を偽造していたことが判明した。ライト氏はこの判決に対して控訴すると述べている。
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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Crypto exchange Binance seeks to slash size of $13 billion UK lawsuit
(Reporting by Sam Tobin; Editing by Mark Potter, Kirsten Donovan)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters