ワールドコイン(WLD)、スペインでの事業停止を2024年末まで延長

ワールドコインがスペインでの事業停止を2024年末まで延長

暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」によるスペインでの事業が、2024年末まで、もしくはデータ保護に関する最終的な解決が完了するまで再開しないことが6月4日発表された。

「ワールドコイン」は今年3月、個人情報保護の観点からリスクがあるとして、スペインのデータ保護機関AEPDより最長3カ月間の活動禁止が要請されていた。

これに対し、同プロジェクト関連会社ツールズ・フォー・ヒューマニティ(TFH:Tools For Humanity)は、今回の事業一時停止の延長を申し出たとのこと。

これにより、「ワールドコイン」の「EU(欧州連合)一般データ保護規則(GDPR)」遵守の監督を担当するBayLDA(バイエルン州データ保護監督局)は、同プロジェクトの監査時間が得られるとTFHは説明している。

3月の時点でAEPDは「ワールドコイン」に対し、情報提供が不十分、未成年者のデータ収集、同意の撤回ができない等、複数の苦情が寄せられていることを通知していた。

これを受け「ワールドコイン」は、データを個別に暗号化及び秘密に共有・分散できるシステム 「SMPC(Secure Multi-Party Computation:セキュアマルチパーティコンピュテーション)」や、虹彩スキャン時の対面での年齢確認、「ワールドID(World ID)」の検証解除をこの数か月間で導入し、対策を行った。

「ワールドコイン」はこれまでケニアやインド、ブラジル、フランス、ポルトガル、香港などの国・地域で活動停止命令がでており、アルゼンチンや韓国でも当局からの調査を受けている。

ただしその一方で虹彩スキャンに登録した人の数は120カ国で400万人を超えている状況だ。

ワールドコインとは

ワールドコインは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOサム・アルトマン(Sam Altman)氏が立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクト。

ワールドコインは「オーブ(Orb)」と呼ばれるボール状のデバイスで虹彩をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別する「World ID」を発行する。これによりワールドコインは世界的なIDシステムの構築を目指している。

現在この虹彩スキャンは無料ででき、スキャンしたユーザーは暗号資産「Worldcoin(WLD)」を受け取れる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカム実現も計画されている。

その他にもワールドコインでは、独自の専用ブロックチェーン「ワールドチェーン(World Chain)」を今夏にリリースする予定だ。 ・TFHによると「ワールドチェーン」はイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2ブロックチェーンとのこと。

ワールドコインは現在イーサリアムL2の「OPメインネット(OP Mainnet)」上で稼働しているが、同ネットワークのトランザクションが「OPメインネット」のアクティビティの約44%を占めていることなどの要因からネットワーク移行を進めるとのことだ。

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参考:ワールドコインAEPD
images:iStocks/Abscent84・butenkow

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この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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